負荷を想定してハードウエア構成を決める「サイジング(性能設計)」の失敗により、処理性能が不足するトラブルが急増している。逆に過剰な性能のサーバー導入を余儀なくされた企業もある。これまで性能問題は対症療法でしのいできたが、もう限界だ。性能問題の実態を明らかにした上で、抜本的な解決策に迫る。

(森側 真一、目次 康男、田中 淳)

ユーザー企業を襲う性能問題の実態
多層化と意識低下でサイジングが崩壊寸前
寄稿●性能設計につまずかない現実解


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図●性能問題の実態
 年間190プロジェクト──ある大手ITベンダーのインフラ設計部隊が、システムの「性能問題」に対処した件数である。同社の総プロジェクト数のおよそ10分の1に当たる。その多くでは総合テストの段階で問題が発覚し、ハードウエアの増強やチューニングに追われた。

 これは氷山の一角にすぎない。処理性能が不足する、逆に過剰な性能のサーバー導入を余儀なくされるといった、性能問題に直面するユーザー企業が急増している。「実用には現状の5倍の能力が必要」。医療機器商社のムトウが5月、基幹系システムの開発委託先である東洋ビジネスエンジニアリングを訴えたのも性能問題が原因だ。

 性能問題とはすなわち、負荷を想定してハードウエア構成を決める「サイジング(性能設計)」の失敗を指す。問題急増の背景には、このサイジングの基本を知らないどころか必要性さえ自覚していない技術者が増えていることがある。あるベンダー幹部は、「当然のことだが、対称型マルチプロセサ(SMP)機では、複数のCPUが共有するメモリーとの通信がボトルネックになる。それを知らずにシステムを設計し、性能が出ないと嘆くケースが非常に多い」と証言する。システムを構成するサーバーやミドルウエアの多階層化とブラックボックス化が進んでいることが、サイジングの難易度をさらに押し上げている。

 SOA(サービス指向アーキテクチャ)の足音が近づく中、性能問題を対症療法でしのぐのは限界に来た。解決策はあるのか。性能問題の実態に迫る。


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