Q1 プロジェクトの実績報告が形骸化して有名無実になっている
IT経営推進プロジェクトのプロジェクトマネジャーをしていますが、実績評価(パフォーマンスレポート)の形骸化して有名無実になっています。QCD(品質、コスト、納期)については定量的に把握しており、きめ細かく報告を受けているつもりですが、なかなか計画通りにプロジェクトが終わりません。
メンバーには実績報告自体に対して“やらされ感”を持っているようで、プロジェクトの全責任をまっとうするために実績報告を行うという意識が希薄です。このような状況を打破し、実効性のある実績報告にするためには、どうすればよいでしょうか。
A1 定量的報告の方法を改善するとともに定性的な報告を強化する
昨今はプロジェクトの実績報告で、定性的報告よりも定量的報告が求められており、デジタルな数値で把握できる実績については必ず定量的な報告を行う必要があります。特にQCDおよびスコープについては、EVM(Earned Value Management)といった手法を適用するなどで一歩踏み込んだ定量的報告を行ってください。さらにPMBOKガイドの10領域を参考にして定性的な報告を強化することで、プロセスをマネジメントします。
最初にプロジェクトマネジメントの基本をおさらいしましょう。連載第8回Q1で解説したように、プロジェクトマネジメントの標準ガイド「PMBOK」では、プロジェクトでマネジメントすべき領域を「知識エリア」と呼び、以下に示す10領域を列挙しています。
- 統合マネジメント
- スコープマネジメント
- タイムマネジメント
- コストマネジメント
- 品質マネジメント
- 人的資源マネジメント
- コミュニケーションマネジメント
- リスクマネジメント
- 調達マネジメント
- ステークホルダーマネジメント
これらのうち、「2.スコープマネジメント」「3.タイムマネジメント(スケジュールマネジメント)」「4.コストマネジメント」の三つは、プロジェクトの実績に目に見える形で反映されるため、多くの方が定量的報告を行っていると思います。
問題はその報告の仕方です。ご質問の内容を拝見しますと、デジタルな数値による報告は受けているようですが、表面的な数字の把握にとどまり、マネジメントにうまくつながっていないと思われます。それでは実績報告が形骸化してしまいます。