Q2 IT戦略目標の達成度に関する検証基準が弱く、IT導入の成果が見極められない

 IT部門でITシステムの構築・運用を担当しています。先日、取締役会から昨年運用を始めた新システムの投資対効果を検証してほしいという指示が来ました。これまでは日常のIT運用に時間を取られて、IT導入の成果測定にあまり時間を割いてこなかったために回答に苦慮しています。

 新システムを導入する際、外部コンサルタントの指導を基に作成した「IT戦略実行計画書」を見直したところ、いくつかの経営上の目標が書かれていましたが、それら目標の達成度を測定することなく、IT戦略実行計画書が書庫で眠っていたのが実状です。

 改めて成果測定の重要性を認識して、投資対効果を検証する仕組みを整備したいと思いますので、ポイントをご教示ください。

A2 IT戦略実行計画書の意義を見直し、実行プロセスをモニタリングする

 IT戦略実行計画書は、IT経営を推進するため「ITコーディネータ プロセスガイドライン」に基づいて作成する文書の一つです。経営戦略策定フェーズに続くIT戦略策定フェーズで作成し、経営者の承認を得ます。投資対効果に対する検証方針(モニタリング&コントロール方針)が記載されており、ITの投資対効果を検証する際には必須となります。

 しかし、ご質問のようにIT戦略実行計画書を作成していても投資対効果に対するモニタリングがなおざりになるケースがよく見られます。投資対効果のモニタリングが本当に重要であるという動機づけが経営者やステークホルダーに対して不十分である場合などです。

 そこでここでは動機づけを含め、投資対効果に対するモニタリングを効果的に行うためのポイントを解説しましょう。以下の三つを取り上げます。

(1)モニタリングが必要になる真の理由を理解
(2)経営者自身が本気で取り組む目標を策定
(3)ITツールを活用して実行プロセスを効率的にモニタリング