Q2 全体最適システムの実現に向けた業務プロセス分析がうまくできない

 従業員数200人ほどの製造業で、全社的な業務の効率化や情報の共有化を目的に全社統合情報システムの構築を目指していますが、全体最適の実現に向けた業務プロセス分析がうまくできず、部分最適のアプローチに終始しています。

 現状では、営業、物流、製造といった各部門の現場実務者がMicrosoft Excelなどの表計算ソフトで個別に構築した部門業務システムが多数あります。それぞれは現場実務者が自分の担当する業務を効率化するために作成しており、データ項目も処理の仕様も独自のものになっています。

 会社全体では各部門の業務が連続的につながっているのですが、部門業務システムはそれぞれ全くといえるくらいに孤立し、それぞれで必要なデータを再入力している状態です。また、企業の重要な資産であるデータを誰がどこでどのように管理しているのか不明確なため、セキュリティやリスク管理面で問題があります。

 IT経営実現のために、全社統合情報システムをスムーズに導入し、全社最適化を推進するにはどのような業務プロセス分析やアプローチを行ったらよいでしょうか。

A2 現行業務の棚卸しなどを軸に業務の全体最適化を実現する

 中小企業では今、IT投資コストの抑制が強く求められています。そこでここでは、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型クラウドサービスを含めた業務システムパッケージソフトウエアの導入を前提にした実践例を基に説明をしましょう。各部門が個別に構築した部門業務システムと全社統合情報システムのイメージは図1のようになります。左側の矢印は現行個別処理体系から新統合型処理体系を目指すことを示します。

図1●部門業務システムと全社統合情報システムのイメージ
図1●部門業務システムと全社統合情報システムのイメージ
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