Q1 IT戦略を経営戦略の実現に関連付ける手立てが分からない

 経営戦略策定をミッションとする経営企画室に所属しています。過去に多くのITシステム構築をIT部門に指示してきましたが、経営戦略で意図した通りに機能するITシステムがあまりありません。IT部門では、経営陣が策定した経営戦略を受けて、ITベンダーにITシステムの構築を依頼し、ITシステムの機能をITベンダー主導で決めていますが、ITシステムの基本的な要件が十分に洗い出せず、何度修正を指示しても追いつかないのが現状です。

 原因は、経営戦略とIT戦略の整合性がとれていないことにあると感じています。第一に、IT部門やITベンダーが当社の経営戦略や業務プロセスを十分理解しないまま、IT戦略を策定し、それに基づいてITシステムの構築を行っていると考えています。第二に、経営戦略からIT戦略を立案する際の明確な手順がないため、策定したIT戦略が経営戦略の要求に沿わない箇所や漏れが出てきています。

 経営企画室としては、経営戦略とIT戦略の整合性を高めて、経営戦略で意図した通りに機能するITシステムの構築を推進したいと思っています。どういう点に留意すればよろしいでしょうか?

A1 経営者をリーダーとしたユーザー部門主導のIT戦略策定、業務プロセス改革の見える化などを行う

 経営戦略とIT戦略に整合性を持たせることは、経営戦略で意図した通りに機能するITシステム構築を目指す上で必須のテーマです。ITコーディネータ協会はIT経営を推進するガイドラインとして、「ITコーディネータ プロセスガイドラインVer.2.0(PGL2.0)」を公表しています。その「IT戦略策定フェーズ」を参考に、IT戦略策定の体制や手順を整備するとよいでしょう。特に留意したいのは以下の点です。

  1. 経営者をリーダーとしたユーザー部門主導のIT戦略策定体制を作る
  2. 業務プロセスの見える化を図る
  3. 経営戦略目標からIT戦略目標への変換規準を設定する

それぞれを順に解説しましょう。