システム開発に迅速さと柔軟さが求められるようになり、「ちょうどよい開発プロセス」を模索しているIT現場は多いのではないか。開発プロセスは、ITエンジニアにとっての業務プロセスといっていい。これを時代に合わせて改善して効率化していくことは、IT現場に課された重要なテーマである。

 特に最近は、クラウドを使った開発が広がり始めている。このクラウドを使った開発スタイルに、開発プロセスを改善することが今目の前にあるテーマである。

 「クラウドを使った開発では、プラットフォームとして提供されるサービスのさまざまな『制約』とうまく付き合う必要がある」。こう指摘するのは、開発プロセスに詳しいソフトウェアプロセスエンジニアリング(SPEI)の岡 大勝氏(代表取締役CEO ITアーキテクト)だ。岡氏は、要件定義の段階から、クラウドの制約を考慮した進め方が求められるという。

 岡氏はまた、クラウドのスピード感を十二分に活かすような開発プロセスへと進化させる必要性も訴える。具体的には、モジュールインテグレーションという手法を挙げ、既存のモジュールを組み合わせていかに速く確実に開発を進めるかを検討しなければならない。段階的リリースや、共同開発に適合したプロセス改善も不可欠という。

 このほかクラウドを使った際の開発プロセスでは、KVS(キーバリューストアー)を利用する際のデータベース設計、オンプレミスのシステムと連携させる場合のインタフェース設計、セキュリティーやバックアップといったクラウド特有の対策を講じるためのタスクなども必要になるとしている。

 もちろん、重厚長大な開発プロセスでは現場に根付かない。岡氏のモットーはあくまで「ちょうどよい開発プロセス」である。開発プロセスの進化は、メインフレームからクライアント/サーバー(C/S)、Webへと対象を変えてきた。それが今まさに「クラウド」をカバーすることが問われている。

 非ウォーターフォールでありながら、決してアジャイルではない。XDev2012では、岡氏が提唱するちょうどよい開発プロセスをぜひ参考にしていただきたい。

開発プロセスのデザイン術
~ クラウドの「制約」と上手に付き合う方法 ~
ソフトウェアプロセスエンジニアリング 代表取締役CEO ITアーキテクト 岡 大勝 氏
ソフトウェアプロセスエンジニアリング 代表取締役CEO ITアーキテクト 岡 大勝 氏

【講演概要】 システム開発に迅速さと確実さが求められる中、開発プロセスをどうデザイン(改善)するかが重要となっています。最近は、クラウドをシステム基盤として利用するプロジェクトも多く、その「制約」ときちんと向き合うことも欠かせない条件になってきました。本講演では、開発プロジェクト経験が豊富な岡氏が、ウォータフォール型の既存の開発プロセスを、現在のプロジェクトに合うようにデザインする方法を指南します。アジャイルやBABOK、ALMといった方法論や知識体系、考え方をどう取り込めばよいのかを具体的に示す貴重な講演です。

■ 11月7日(水)14:05-14:45 A会場
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