勘と経験だけでなく、データ分析に基づいた知見を生かして勝てる組織を作る――。ビッグデータ関連の取材をしていると、データ分析の重要性を再認識させられることが多い。こうしたデータ分析を組織に取り入れるときの舞台裏を描いたのが、2011年に公開されたブラッド・ピット主演の映画『マネーボール』だ。

 『マネーボール』では、データ分析手法「セイバーメトリクス」を取り入れることにより、メジャーリーグベースボール(MLB)の弱小チームだったオークランド・アスレチックスが、2002年に20連勝という記録的偉業を達成するなど快進撃を続ける様が描かれている。

弱小チームを勝てる組織に変えた「セイバーメトリクス」

写真●DELTA代表社員 岡田 友輔氏
写真●DELTA代表社員 岡田 友輔氏

 では、資金不足で弱かった球団を強豪チームに変えたセイバーメトリクスとは何か。簡単にまとめると、「野球という集団球技がどのように成り立ち、どうすればその勝率を高めることができるのかを統計的に分析して検証する手法」である。

 映画『マネーボール』では、ブラッド・ピット演じるオークランド・アスレチックスのゼネラルマネジャーが、独自の“勘と経験”だけで選手たちを評価する古株のスカウトに見切りをつけ、“データ分析”を得意とする若手職員を重用。彼とともに当時は全く評価されていなかったセイバーメトリクスを用いてチームを編成し直した。その結果、毎年のようにプレーオフに進出するような強豪チームに生まれ変わることができたという。

 限られた資金の中で、データ分析力を競争力に活かして勝てる組織を作る。オークランド・アスレチックスにより有用性が実証されたかたちのセイバーメトリクスは多くの球団に広がり、もはや当たり前のデータ分析手法としてMLBに根付いている。

情報取得の自動化で、大量のデータを分析可能に

 このセイバーメトリクスにも、ビッグデータの波が押し寄せている。カメラから得られた情報を自動的にデータ化していく「トラッキング技術」により、人がスコアブックに書いていたデータとは比較にならないほど膨大なデータを収集できるようになった。データ収集の自動化により、安価に膨大な量のデータを分析・活用できるようになりつつある。その結果、データ分析の適用領域が大きく広がり、野球の構造理解が一段と進んでいる。

 こうした観点から、ITpro EXPO 2012/BigData EXPO 2012では、セイバーメトリクスにフォーカスを当てた企画講演を用意した。国内におけるセイバーメトリクスの第一人者である、DELTA代表社員 岡田 友輔氏に、「ビッグデータが加速させる野球の構造理解 ~セイバーメトリクスによる分析範囲の拡大」と題して、プロ野球におけるデータ分析・活用の最新動向を解説していただく予定である。

 プロ野球という勝つことが常に求められている組織で、いかにデータ分析が導入され、新たな知見が得られ、勝利に貢献しているのか。データ分析・活用の最前線を知り、自らの組織の強化につなげていただけたらなによりである。ぜひ、講演会場にお越しください。

【企画講演】
ビッグデータが加速させる野球の構造理解 ~セイバーメトリクスによる分析範囲の拡大
<10月10日(水)16:30~17:20>

【講師】
DELTA 代表社員 岡田 友輔氏

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