デフレから脱却できない日本経済。縮小を余儀なくされる国内市場。与野党攻防の迷走で行き詰まる国内政治。

 そうした先行き不透明感のなかで、ともすると自信を失いがちな日本の企業やビジネスパーソンは、今後どこに光を見い出し進んでいくべきなのか――。

日本総合研究所の高橋進 理事長
日本総合研究所の高橋進 理事長

 この疑問に答えるべく、2012年10月10日(水)に開幕するITpro EXPO 2012の基調講演では、日本を代表するエコノミストの1人、日本総合研究所の高橋進 理事長に登壇していただく(関連記事「成長の種は国内にあり、ICTが復活のカギ握る」)。

 例えば、日本経済の喫緊の課題であるデフレ脱却。これについて高橋理事長は、日本銀行による金融緩和政策の推進だけでは、根本的な問題解決につながらないと言い切る。「何より重要なのは、積極的な規制改革や構造改革によって、投資に消極的な企業のマインドを変えること。民間の取り組み次第で市場を拡大できる、という成長期待を持たせる政策こそが、デフレ脱却への道だ」。

 そうした成長が期待できるのは、具体的にどんな市場なのか。高橋理事長は「環境・エネルギー」「医療・介護」「農業」の3つを挙げる。

 これら3分野を真の成長市場に育てるためには、金融緩和や補助金、減税などの政策を打ち出すだけでは不十分だ。「規制改革や構造改革を徹底することで、企業による投資が加速し、家計のお金が市場に流れていく。そうやって日本経済が再生への軌道に乗っていくのではないか」(高橋理事長)。

 これらの市場は一見、成熟しているように思えるが、日本企業は今後、しゃかりきになってこれらの市場を新技術で育成し、そこで得たノウハウを強みとして蓄積していくことが重要だという。「それが10年後、20年後にアジアを中心とする海外市場の開拓につながっていく」(高橋理事長)。

 日本企業はここ数年、家電・半導体・電子機器といった分野のグローバル展開で、韓国や中国、台湾などの企業に大きく遅れをとった。その最大の理由を高橋理事長は、「ビジネスモデルの問題」だと指摘する。「グローバル市場で本当に受け入れられる製品を作ってこなかった。そのためのマーケティングもうまくいかなかった」。

 これから日本企業が環境・医療・農業などの分野で新市場を開拓し、グローバル展開を図っていくうえで、ビジネスモデルの構築は最重要課題となる。「日本企業は今、劣勢に立たされているが、ビジネスモデルをうまく変革すれば、それが突破口となって先が見えてくる」(高橋理事長)。

 言うまでもなく、ビジネスモデルの構築とICTの活用は車の両輪である。ICTにかかわる企業やビジネスパーソンが日本経済再生に果たすべき役割と責任は極めて大きい。読者の皆さんにはぜひ基調講演の会場に足を運び、高橋理事長からのメッセージを直接感じ取っていただきたい。

【基調講演】
新興国シフト、内需不振の時代を生き抜くビジネスモデル
<10月10日(水)9:50~10:50>

【講師】
日本総合研究所 理事長 高橋進 氏

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【高橋進理事長インタビュー】
「成長の種は国内にあり、ICTが復活のカギ握る」