写真●昨年のICTパネル討論会「大手コンピュータメーカーが描くエンタープライズクラウドの未来」の様子
写真●昨年のICTパネル討論会「大手コンピュータメーカーが描くエンタープライズクラウドの未来」の様子
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 今、IT業界で最も「熱い」キーワードが、「ビッグデータ」である。ビッグデータとは、従来とはケタ違いの容量や複雑さを持つ巨大なデータを意味する。このビッグデータから、ビジネスや医療、科学研究に役立つ「知見」や「パターン」を見つけ出すことで、企業の競争力向上につなげようという取り組みが、近年加速している。

 ビッグデータを活用することで、競争力の高い製品やサービスの提供を実現した代表格が、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムといった、大手ネット企業である。例えばグーグルは、2010年6月に米国で開かれた学会「ACM Symposium on Cloud Computing(SOCC) 2010」で、同社が自社開発した分散処理基盤「MapReduce」を使って、毎月94万6460テラバイト(およそ1エクサバイト)のデータを処理していることを明らかにしている。

ビッグデータから得たグーグルの競争力

 グーグルが画期的だったのは、大量のデータを処理していることだけではない。同社はビッグデータを、非常に高度なデータマイニング手法で分析することで、より良いサービスを生み出している。最もわかりやすい例が、同社の検索サイトだ。

 グーグルは、「有用なサイトは、有用なサイトからリンクされている」という「ページランク」という法則を見つけ出し、その情報を元に世界中のWebサイトの有用度を順位付けした。グーグル以前の「ディレクトリ型」と呼ばれる検索サイトは、情報の有用度を「Webサーファー」と呼ばれる人間が、コンテンツの中身を読んで判断していた。グーグルは、人間が行っていた作業をコンピュータに置き換えることで、より大量のWebサイトを、より早く順位付けし、より優れた検索サイトを生み出した。

 グーグルの例をもう一つ紹介しよう。同社は2007年、自社データセンター内で稼働する50万台のハードディスクの稼働状態を調べ上げた結果、「摂氏50度以下であれば、ハードディスクの稼働温度と故障率に相関関係は無い」ことを発見し、それを論文で発表した。

 同社はこの分析結果を元に、それまで20度以下にするのが望ましいとされていたサーバールームの温度を28度~30度にまで上げ、冷却に必要となる電力コストを大幅に削減した。同社が、無料または非常に安い料金でクラウドサービスを提供できる背景には、ビッグデータ活用に基づく運用コストの削減があった。

「ビッグデータで何ができるようになるか」を存分に議論

 今、多くの企業が、「グーグルのように」ビッグデータを活用することで、企業の競争力を高めようとし始めている。

 グーグルがビッグデータに挑み始めたのは1990年代後半。当時は処理を実行するためのソフトが存在せず、並列プログラミング基盤の「MapReduce」や分散ファイルシステムの「Google File System(GFS)」などを独自に開発せざるを得なかった。

 今は状況が全く異なる。様々な大手ITベンダーが、データを「大量に」「深く」「素早く」処理できる製品やサービスを提供し始めている。そこで今回のパネル討論会では、このような「ビッグデータソリューション」を提供する大手ベンダー3社にご登壇いただき、企業がいま、ビッグデータを活用することで、何ができるようになるのかを存分に議論する。ぜひともご来場いただきたい。

【パネル討論会】
ビッグデータが変えるビジネス、社会
<10月12日(水) 16:00~17:00>
    【パネリスト】
  • EMCジャパン 常務執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部長
    徳末 哲一 氏
  • 日本IBM 理事 Information Management事業部長
    俵 雄一 氏
  • 日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長
    三澤 智光 氏
    【モデレータ】
  • 日経コンピュータ 記者 中田 敦
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【昨年のICTパネル討論会】
基幹システムのクラウド移行は始まっている---メーカー4社のパネル討論