大規模サイトの性能問題をゼロに リクルートの成功事例を公開
リクルート MIT United プロジェクト推進部 システム基盤推進室 エグゼクティブマネジャー 米谷 修 氏
リクルート MIT United プロジェクト推進部 システム基盤推進室 エグゼクティブマネジャー 米谷 修 氏

【講演概要】「カーセンサー」「リクナビ」「SUUMO(スーモ)」など、様々な大規模サイトを抱えるリクルート。アプリケーションの複雑化や時間的余裕の無さなどから、サイト公開後の性能問題に悩まされてきました。これを解消すべく、性能向上専門チームを設立するとともに独自開発したツールを駆使することで、サービスイン段階での性能問題をゼロにできました。リクルートが実施したシステム性能検証プロジェクトの中身を公開します。

■ 9月16日(金)10:30-11:15 B会場
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講師へのインタビュー

大規模サイトの性能問題に悩まされてきたそうですね?

 アプリケーションの複雑化、サイトごとに実施する性能試験での品質のばらつきと個別対応による無駄の発生、性能試験でボトルネックが顕在化しても対応している時間がないなど、大規模サイトの性能問題について課題を抱えていました。

 大規模サイトの性能問題を解決するには、高いスキルおよびインフラ知識を持つ人員が不可欠な上、従来の性能試験の実施タイミングでは、ボトルネックが判明してもサイトのオープンまでに間に合わないことがあります。なかなか難しい問題でした。

この課題に、どのように対処したのですか?

 課題を解消するために、三つの施策を実施しました。性能検証とチューニングを専門に行うチームの設立、アプリ性能を可視化するツールの開発、結合テストフェーズへの性能検証フェーズの組み込み、です。

 具体的には、15人から成る性能検証チームを2010年4月に設立し、さまざまな開発プロジェクトに対して性能検証とチューニングを行うようにしました。これにより、スキルやノウハウを蓄積できると同時に、サイトの性能品質のばらつきがなくなりました。

 また、サイトの開発基盤の統一に伴い、アプリケーションの階層ごとのログを一元管理できる性能検証用可視化ツールを開発しました。ツールを活用することで、ボトルネックが判明するまでの時間を劇的に短縮できました。

 さらに、開発のより早い段階で性能検証を実施することで、サービスインまでの間に着実にボトルネックの種を潰せるようになりました。

約1年間実施してきて成果はどうですか?

 成果には満足しています。従来のやり方と比べて平均して3分の1ほどの開発工数で性能検証とチューニングができている上に、実施後に手掛けた10案件すべてにおいて、サービスイン段階での性能問題は発生しませんでした。また、案件をこなすごとに専門チームのスキルやノウハウが蓄積できています。

 講演では、大規模サイトでの具体例を挙げながら、システム性能検証プロジェクトの実態を解説します。いかにして大規模開発での性能問題を回避するか、参考になれば幸いです。

(聞き手は、田島 篤=ITpro

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