まずはマンガで知ってみよう… |
こっちはウソなし…
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誰しも一つくらいは、ちょっぴりマニアックな趣味を持っているものです。私は最近ボードゲームにはまっています。ボードゲーム好きの間で誰もが知ってる大作と言えば「カタン」です。最近では「ドミニオン」が10年に一度の傑作と言われて、ブームとなっています。しかし、一般的にボードゲームと言えば「人生ゲーム」や「モノポリー」しか知られていないでしょう。「カタンは“キャズム”を超えていないんだなぁ」と少し残念に思っています。
一方で、マニアックであったはずが、いつの間にか誰もが知るようになったものもあります。例えば「携帯電話」は、当初はごく一部の人だけが利用する特殊な機器でしたが、今では誰もが普通に利用するようになりました。パソコンもそうですね。これらは「“キャズム”を超えた」と表現します。
つまり、一部のユーザーに知られるだけでなく、広く、一般的に普及することを「キャズムを超えた」と表現するのです。
一般的なユーザーとの間に存在する
“溝”のことである!
エベレット・M・ロジャーズが著書「イノベーション普及学(Diffusion of Innovations)」にて提唱した普及学の基礎理論のモデルでは、顧客は次の5つのグループに分類されます。
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イノベーター(Innovator)
- 新しい技術が好きで、実用性よりも新技術が好きな人。
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アーリーアダプター(Early Adopter)
- 新しい技術によって、競合相手などを出し抜きたいと思っている人々。
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アーリーマジョリティ(Early Majority)
- 実用主義で役立つなら新しい技術でも取り入れたいと思っている人など。
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レイトマジョリティ(Late Majority)
- 新しい技術は苦手だがみんなが使っているなら自分も使わなければと思う人たち。
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ラガード(Laggard)
- 新しい技術を嫌い、最後まで取り入れない人々。
例えば最近流行しているiPhoneで、自分はどこで、あの先進的な人は、いつまでたっても買いそうにない人は……と考えてみるとわかりやすいでしょう。イノベーション普及学の基礎理論では、新製品や新技術が社会に普及するにはイノベーターとアーリーアダプターを合わせた層(全体の16%)に普及すれば、急激に広まっていくとしています。そこで、イノベーターとアーリーアダプターにアピールすることが新製品普及のポイントであるとされてきました。流行に乗るのが好きな人をねらえ、ということですね。
これに対して、ジェフリー・A・ムーアが著書「キャズム(Crossing the chasm)」で提唱したキャズム理論では、5つの分類の間にはそれぞれ断絶があるとしました。特にアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には「深く大きな溝(キャズム)」があるとし、キャズムを乗り越えられるかどうかが、新製品が普及するか一部のマニアに支持されるかどうかの鍵だと指摘しています。
アーリーアダプターが新製品を購入するのは、ほかの人に先じて新技術を採用することで差別化を図る“変革の手段”としてであるのに対し、アーリーマジョリティは他人の成功事例を参考に“業務効率改善の手段”としています。こうした手段に対する要求が異なるところにキャズムが存在し、新製品がキャズムを超えて普及するためには、普及段階に応じてマーケティングアプローチを変えていく必要があると説いています。
パソコン、携帯電話、Web、携帯音楽プレイヤー……最近は、たくさんのものがキャズムの谷を超えて、私たちの世界にやってきました。妄想の猫と遊ぶことがキャズムを超える日は、さすがにこないでしょうね……。
本日のまとめ |
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