まずはマンガで知ってみよう… |
こっちはウソなし…
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「こちらの空気清浄機はマイナスイオンを発しており、空気浄化作用はもちろん、ストレス軽減効果やリラックス効果もあります」
「マイナスイオンはテレビで特集見たことあるよ。睡眠改善や集中力アップまで効果があるやつだよね。これに決めた!」
家電を買うときに、ついつい「マイナスイオン効果」というキャッチコピーのある製品を買ってしまったことはありませんか? そのとき、「マイナスイオンって何?」と聞かれてきちんと説明できたでしょうか……。かつて、マイナスイオンがなんだかちゃんと説明できる人があまりいないのに、マイナスイオンという名前がついている製品ばかりがよく売れる時期がありました。ブームのピーク時には、単なる置物や装飾品までもがマイナスイオン商品と冠して売られていたのです。
一見専門用語のように見える、
明確な合意や定義のない用語のこと!
バスワード(buzzword)のバズ(buzz)という英単語は、蜂がブンブンとうなり続けている様子を表しています。さらに、世間の群衆が噂話でざわめいている状況を表す言葉としても用いられます。「バズワード」はここから転じて、世間、あるいは業界一般などの一定のグループの間で、喧伝されているにもかかわらず、その実態が明確ではない言葉を表します。
その結果、その分野に明るくない人に良いイメージだけを押し付けたり、よくわからないけれどすごそうなものを想起させるための宣伝文句として使われたりします。最初に挙げた「マイナスイオン」も、科学用語としての意味はちゃんとありますが、本来の意味と、人間に与えるとされるよい影響との関係は、多くの人には確認することができませんでした。良いイメージを利用しただけのマーケティング用語として使われていることがわかるでしょう。
このようなバズワード、IT業界にはたくさんあります。例えば、「Web2.0」「ユビキタス」「クラウドコンピューティング」などです。IT業界以外でも、「ゲーム脳」「血液サラサラ」などがあります。
見分けるには「理解できるか、説明できるか」
「今、時代はクラウドコンピューティングですよ。自社でシステムを構築するよりも、性能の良い我が社のPCを使ってサービスを構築しませんか?」
「クラウドコンピューティング?確かに最近良く耳にする言葉だけれど、具体的なイメージができないね」
おっと、鋭い切り返しです。ある用語を聞いたとき、それを具体的にイメージできるか、つまり理解できるかを確認することはとても大事です。そうでないと、「なにか新しそうな言葉だからきっといいに違いない」という、大きな勘違いをすることになります。
「クラウドコンピューティング? それはバズワードだろう」
これも鋭い切り返しですが、あながちそうとも言い切れるかどうかは微妙です。流行している言葉を「○○はバズワード」と口にするだけで、冷静に物事を分析しているように見えます。でも、それが本物かどうかは、その用語のことをじっくり学んでみないと、あるいは時間が経たないとわからないことが多いです。だって流行する程度には“新しい”言葉なんですから。
「インターネット」という言葉は、現在では、誰もが当たり前に使う言葉になりました。でも昔は、きちんと説明できる人はとても少ない、新しい言葉でした。それゆえ、いくつかの誤解があったように思います。その後「インターネット」という言葉は、使われているうちに定義が明確になり、一般的な理解が広まり、バズワードではなくなりました。このように、当初「バズワードかも」と思われていても、共通認識を得た普通の言葉として定着していくものがあります。
“なんとなく流行っているから使って格好よくしよう”なんて考えると「バズワードばっかりの人」と思われちゃいます。どんなに新しい用語でも、自分がしっかりと説明できるか、相手が誤解なく理解してくれそうか……この二つをちゃんと考えながら使っていきたいところですね。
本日のまとめ |
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