公式に利用できるテスト版として提供が開始されてから5年以上が経過した後,ウェブベースの電子メールサービス「Gmail」は2009年7月,ついにベータ版から正式版へと移行を果たした。そして,いまやクラウドコンピューティングに熱意を抱くGoogleは,Gmailへのオフラインアクセス機能「Offline Gmail」を,実装されてから1年も経たないうちにグレードアップさせてきた。

 GoogleのプログラマーであるAaron Whyte氏は米国時間12月7日,公式ブログへの投稿に「Offline GmailがGoogle Labsから卒業し,Gmailの正規の機能となることをお知らせする」と記した。

 「Gears」と呼ばれるGoogleのブラウザプラグインをベースに提供されるOffline Gmailがサポートされることで,たとえインターネットに接続していない時でも,電子メールの閲覧,検索,並べ替え,作成などが可能となる。送信メッセージは「Outbox」に待機し,ネットワーク接続が確立されると送信される。また,コンピュータ上のアカウントは,サーバと再同期することになる。

 Whyte氏は「これまで一般的だったデスクトップ電子メールクライアントから『Google Apps』へと移行している企業や学校などでは,とりわけOffline Gmailが役立つと証明されてきた。こうしたユーザー環境では,オンラインであれ,オフラインであれ,常に電子メールにアクセスできる状態が当然となってきたため,それをOffline Gmailによって,まさにブラウザで実現することになる」と述べた。

 Gmailに加え,オンラインアプリケーションスイートの「Google Docs」や「Google Calendar」をバンドルしたGoogle Appsは,教育機関や中小企業向けに無料で提供されている。一方,「Google Apps Premiere Edition」の利用料金は,1ユーザー当たり年間50ドルとなっており,同社最高経営責任者(CEO)のEric Schmidt氏は,こうした企業向けのサービスこそ,Googleにとって「次なる数十億ドル規模のビジネスチャンスとなる」と語っている。

 Gearsは「Google Chrome」ブラウザには標準で組み込まれているものの,他のブラウザではプラグインの使用が不可欠となる。しかしながら,Googleは「HTML5」で同等の機能が提供されることを受けて,今後のGearsの開発を中止してしまった。ウェブサイトの記述に使用されるHTML標準の改良を図ったHTML5仕様においては,コンピュータのローカルストレージ上のデータも表示対象に含められており,いまだにHTML5の最終的な仕様は確定していないものの,Google Chromeではデフォルトで有効になっている

 太平洋標準時間午後1時45分更新:Mac OS X 10.6のユーザーは,Gearsが動作しない状況が報告されているため,ほとんどがOffline Gmailも使用できなくなっている。

 Googleの広報担当となるVictoria Katsarou氏は「現時点ではSnow Leopard上でGearsは動作しない。また,現在のところは解決方法も判明していない」とコメントした。なお,同氏は,HTML5ベースのOffline Gmailが提供されるのかどうかや,その提供予定時期などに関しては,一切コメントしようとしなかった。

 さらに,Offline Gmailは,新たにリリースされたMac対応Chromeのベータ版でも動作しない。GearsはChromeに組み込まれているものの,Offline Gmailを有効にしようとすると,「サポートされないブラウザである」とのエラーメッセージが表示されてしまう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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