Microsoftは米国時間9月15日,「Zune」メディアプレーヤーの最新版を発売した。これにより同社は「iPod」追撃に弾みをつけたい考えだ。

 3年間に渡り,数百万ドルの研究開発費をかけた後,ついにMicrosoftは,大きく差を開けられているiPodに迫るべく,3.3インチのマルチタッチスクリーン,音楽のストリーミング配信,HDTVへHD(720p)動画を出力して再生可能な機能などを搭載した「Zune HD」の発売に踏み切った。16GバイトモデルのZune HDは219.99ドルにて,32Gバイトモデルは289.99ドルにて店頭で販売されている。

 とはいえ,ここまでZuneは進化を遂げてはきたものの,ZuneがAppleによって開けられたギャップを縮められるのかどうかに関しては,多くの懐疑的な見方が広がっている。これまで長きに渡って,ZuneとiPodの比較は,すでに挑戦者が感情的に崩れて涙目になり,足を引きずりながら走っているのに,一向にレースを終えようとはしない,ほぼ最終コーナーの戦いの様相をも呈してきた。Zuneの売り上げは減少の一途をたどり,トップレベルのマネージャーはMicrosoftを去り,おそらく最も気がかりな点としては,すでにこのカテゴリの製品は時代遅れなものになりつつある。

 Appleは,ビデオカメラや音声録音機能などを搭載して「iPod nano」をアップグレードし,さえないiPodの売り上げに弾みをつけようとはしているものの,同社の最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は,単純なデジタル音楽プレーヤーからスマートフォンへと,コンシューマーの関心をシフトさせてきた。Appleは,過去2年間で3000万台以上の「iPhone」を売り上げており,iPhone向けアプリケーションのダウンロード件数は18億を超えている。

 それにもかかわらず,やはりMicrosoftは,世界最大規模のテクノロジ企業であることに変わりはなく,その忍耐強さは有名である。

 NPD Groupの業界分析担当バイスプレジデントStephen Baker氏は「今度こそ物事を正すべくMicrosoftが振り出す最初のショットであるという議論が展開できるだろう。思い出してほしいのだが,成功という基準のバーは,そんなに高く設定される必要はないのだ。もはやiPodの地位を奪える存在など考えられない。(中略)いまやMicrosoftは,より同社が自信を持って送り出せる製品を手にしたのである」と述べた。

 このMicrosoftの自信は,これまでで最高のZuneであると評されてきたアップグレードによるのかもしれない。

 Zune HDには有機発光ダイオード(OLED)画面が採用されており,別売りの新たな「Zune AVドック」を用いることで,HDTVにHD動画を出力して楽しむことができる。

 「コンシューマーは,『Zune Marketplace』からHDコンテンツを購入またはレンタルして,Zune HDに同期し,家庭や外出先で大画面のHDTVなどに出力再生することができる」と,Microsoftは説明している。

 16Gバイトモデルはブラックカラーで,また,32Gバイトモデルは「プラチナ」仕様で店頭にて購入できる。さらに,両モデルともに「Zuneoriginals.net」からならば,レッド,グリーン,ブルーカラーで購入可能となっている。

 Zune HDには,ゲームプレイ,HD(高精細度)ラジオ,「Smart DJ」と呼ばれる音楽推奨ソフトウェアなども装備されている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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