Microsoftの研究者は,「ホワイトスペース」として知られる未使用のアナログテレビ放送用の周波数帯を,新しい無線ブロードバンドサービスの提供に活用できる,無免許で利用可能な周波数帯に変えることに,ようやく一歩近づいたのかもしれない。

 Microsoftの研究者はハーバード大学の学者と共同でプロトコルを開発した。同社によれば,このプロトコルは,無免許の「ホワイトスペース」周波数帯使用時の干渉回避に関する米連邦通信委員会(FCC)要件を満たす製品の基盤になる可能性があるという。マサチューセッツ工科大学(MIT)のTechnology Reviewウェブサイトに掲載された記事によると,研究者は今週,スペインのバルセロナで開催の通信カンファレンスACM SIGCOMM 2009で,自らのアイデアを披露したという。

 GoogleやMotorola,Microsoftなどのテクノロジ企業は何年もの間,この周波数帯の無免許利用への開放を求めて,FCCに働きかけている。こうした企業は,この周波数帯を既存の無線サービスの強化に利用できるのではないか,そして,最終的には新しい無線ブロードバンドサービスの創出に利用できるのではないかと考えているのだ。

 しかし,テレビ放送局やワイヤレスマイク会社は長い間,自社のサービスと干渉するとの理由から,この周波数帯の利用に反対している。

 一連のプロトタイプテストを経て,FCCは11月,ようやく未使用のテレビ放送用周波数帯を無免許での利用に開放した。しかし,FCCは,この無免許で利用可能な周波数帯を使用する機器が,それと同じ無免許周波数帯を使用するテレビ放送局やそのほかの機器(例えば,ワイヤレスマイク)と干渉することを避けるため,厳格なガイドラインを策定した。

 Microsoftは,同社が「White-Fi」と呼ぶプロトコルセットを設計した。Microsoftによると,White-Fiは干渉を避けて,この周波数帯を最大限に利用することができるという。干渉回避に関して最も困難な問題の1つは,同じ周波数を使う新しい機器が,いつでもネットワークに追加される可能性があるということだ。例えば,ワイヤレスマイクは電源を入れたり切ったりすることができる。そして,そのごくわずかな干渉が,干渉問題を引き起こすこともある。

 この問題を回避するため,MicrosoftのWhite-Fiプロトコルは,それぞれの機器が周辺の周波数帯の状況を測定して,利用可能な周波数を検出するように設計されている。さらに,干渉を検出する作業を継続的に実行することもできる。同記事によると,もし干渉が検出された場合は,いつでも異なる周波数帯に移動することが可能だという。

 仕組みを説明すると,この機器は利用可能な「ホワイトスペース」周波数に接続している。しかし,同時に,予備の無線周波数チャネルも維持している。これは,同じ周波数を使用する別の機器が圏内に入ってきたときに,その予備の周波数に移行できるようにするためだ。

 このプロジェクトに従事するMicrosoftの研究者であるRanveer Chandra氏がTechnology Reviewに述べたところによると,同社はワシントン州レドモンドにあるMicrosoft Research Campusで,White-Fiシステムのプロトタイプを構築するための実験的免許をFCCから受け取ったという。Microsoftは,これらのテストの結果をFCCに送付する予定である。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ