Androidアプリ賞金コンテスト・ファイナリストが伝授!
Webアプリクリエーター 渡嘉敷氏
Webアプリクリエーター
渡嘉敷守氏

【講演概要】携帯電話は常に電源が入っており,ユーザーが身に着けているというパソコンと違う特性があります。こうした特性を最大限生かして革新的なアプリケーションを開発するには,既成概念にとらわれない自由な発想が必要です。Androidを題材に,そのヒントをお届けします。

  • 9月16日(水)16:15-17:00 B会場
  • 担当記者による紹介記事

     今,携帯電話アプリケーションの世界で,大変革が起こりつつある。これまでは携帯電話事業者が規定してきた仕様によって,開発者は“手足を縛られた状態”でアプリケーション開発しなければならなかった。ところが,こうした束縛が取り去られ,自由なアプリケーションを開発できる環境が整いつつあるのだ。

     従来,携帯電話用のアプリケーション実行環境といえば,iアプリに代表されるような携帯電話用Javaアプリが主流だった。しかし,これには多くの制限があった。まず,ほかのJavaアプリと連携ができない。これは,アプリケーション・レベルのマッシュアップができないことを意味する。

     また,携帯電話事業者の許可がないと,一つのドメインのサーバーとしか通信できないという制限もある。このため,Webアプリケーション・ベースのマッシュアップも不可能だ。さらに,携帯電話に搭載された各種センサーを自由自在に使えないといった制限もある。

     いずれも,セキュリティを考えてのものだが,こうした制限は開発者の自由な発想を奪う。ある携帯電話アプリ開発者は「箱庭の中で遊ばされているようなもの」とぼやく。

     Androidが載った端末であれば,こうした制限はなくなる。インターネットとローカルのサービス,ローカルのデバイス,別の人が作ったローカル・アプリケーションを縦横無尽に組み合わせて,気軽に新しいアプリケーションを作れるからだ。アイデア次第で誰も見たことのないようなアプリケーションを開発可能である。

     渡嘉敷氏は,こうした可能性にいち早く気付いた日本人の一人である。米グーグルが2008年に開催したAndroidアプリケーション賞金コンテスト「Android Developer Challenge」で洋服管理アプリ「MyCloset」を提出し,日本人として唯一,ファイナリスト(TOP50)に選ばれた。以来,既に9本のAndroid用アプリを開発し,アプリケーション配信サイト「Android Market」で配信中だ。

     同氏は「世界は携帯電話とクラウドを結び付けたアプリケーションの世界へと動こうとしている。この流れに乗らなければ,おいしいところをグーグルなどのネット企業に持っていかれる可能性がある」と警鐘を鳴らす。そうならないためには,まず,新しい時代に合った携帯電話アプリケーション開発手法や発想法を知る必要がある。渡嘉敷氏の講演で,それらに触れてほしい。