システム障害,その時どうする?
NTTデータ経営研究所 エグゼクティブスペシャリスト 富永新氏(前・日本銀行 金融機構局 参事役)
NTTデータ経営研究所
エグゼクティブスペシャリスト
富永新氏
(前・日本銀行 金融機構局 参事役

【講演概要】日本銀行で金融機関のシステム考査を担当してきたNTTデータ経営研究所の富永新氏を招き,金融機関におけるシステムダウンの実態を披露していただきます。どうすればシステムダウンを減らせるのか。日経コンピュータ記者が,富永氏に迫ります。

  • 9月15日(火)10:30-11:30 B会場
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    担当記者による紹介記事

     インターネットや携帯電話,銀行のATM(現金自動預け払い機)ネットワークなどをまったく使わないビジネス生活は,もはや考えられない。ITあるいは情報システムは,社会にとって必要不可欠である。世の中便利になった半面,ITやシステムが正常に動作しなくなったときの影響も大きくなっている。利便性の向上がIT社会の「光」だとすれば,「影」に当たるのがシステム障害といえる。

     「さらにここにきて,システム障害のリスクが増えつつある」。NTTデータ経営研究所のエグゼクティブスペシャリストで,前・日本銀行金融機構局参事役の富永新氏はこう述べる。システムを取り巻く環境が大きく変化しているからだ。環境変化の最たる例は,インターネット経由でシステムのリソースを使う「クラウドコンピューティング」の登場だ。

     クラウド上のサービスを使うと,どのようなリスクにつながるのか。富永氏は「サービスの使い手が,雲の向こう側のことは分からないという感覚を持ってしまう恐れがある」と指摘する。システムの実効的な管理が難しくなる可能性があるわけだ。

     冨永氏はクラウドを否定しているわけではない。リスクがあるから新技術を使わないと考えるのでなく,リスクを正しく把握した上で,ビジネス戦略に応じて新技術を取り入れるべきだという意味である。「新技術を利用することが自社の競争優位につながるなら,積極的に利用しない手はない。システムを作る立場のIT技術者にとっても,新技術をどんどん使う方が刺激があって面白いはずだ」(冨永氏)。システム障害を必要以上に恐れていては,企業の競争力は向上しない。

     「システム障害,恐れるに足らず」と言えるようになるためには,どうすればいいのか。富永氏は「システム障害の脅威とビジネスに与える影響の大きさを改めて認識した上で,それらのリスクを適切にコントロールする必要がある」と述べる。「障害を防ぐ,障害が起きた際は被害を局所化する,なるべく早く回復する,再発を防ぐ,という四つの視点での対策が欠かせない」と続ける。例えば事業継続計画(BCP)であれば,「作るだけで実効性が伴っていない企業も少なくない。実効性のあるBCPを整備しなければならない」(同)。

     システムの大規模化や複雑化,接続先の増加,技術の多様化,複数の企業によるシステムの共同利用などにより,システム管理にかかる負荷は増すばかりだ。ところが「負荷と反比例して企業のIT要員は減っている。IT要員の人的・精神的な負担は臨界点に達し,限界を超えつつある」(富永氏)。これらも,システム障害のリスクにつながる。富永氏は,日銀のシステム考査担当として金融機関における数々のシステム障害を間近で見てきた。

     富永氏には「ITリスク管理と障害対応のあり方~システム障害,そのときどうする?~」というテーマで,金融機関のシステム障害と障害対応の実態を披露してもらう。講演後は,どうすればシステムダウンを減らせるのか,ダウンの被害を最小限に抑えるにはどうすればいいのか,といった観点で,記者が富永氏に質問を投げかけ,それに答えてもらう。システム障害について再考する一つの機会としてご活用いただければ幸いである。

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