近ごろ,富山と言えば柴田理恵さんである。県の特色を紹介するTV番組で,富山県の魅力を“おっとろしけない”ほどおもしろく伝えている(富山弁解説その1:おっとろしけない=恐ろしい,規格外な様)。

 昆布締め,昆布のおにぎり,するめ(富山県では,塩いかと呼ぶ。私の母などは,シオイカではなく,ショイカと発音する。厚めで柔らかいものが好まれる)を焼いておかずにすることなどをおもしろおかしく紹介していた柴田理恵さんは私より2歳年上である。

 今の若い富山県民が秘密の『ケンミンSHOW』を見ていると,「ウソー」と思うこともあるかもしれないが,確かに私の子供のころは,昆布のおにぎりのおかずに,塩いかを焼いてちぎったものを持って出かけたものだった。結構,うれしかった。

 結婚式の鯛のかまぼこもそうである。私が結婚したころ(20数年前であるが)はまだ,かまぼこの大きさ=結婚式の規模であった。西宮から来てくれた学生時代の友人は,重いので,駅でかまぼこを捨てたと言っていた。富山県ではバチ当たりな話である。確かに,昔は細く切ってお裾分けをしていたものだ。でも,近ごろの結婚式の引き出物には,そんなに大きなかまぼこは付いていない。

 以前,和歌山の友人の結婚式に招待されたときに,本物の鯛の塩焼きに思わず箸を付けてしまったのだが,周りには誰も食べている人がおらず,最後にやっとおみやげ用であることに気が付いた。最初からおみやげとしてセットされている富山の鯛のかまぼこの方が合理的である。

 柴田理恵さんの伝える富山の様子には,「そうやった,そんながあった」とちょっと昔を懐かしく思い出す楽しみがある。

 ただし,ザスの昆布締めは今もよく食べる(富山弁解説その2:ザス カジキマグロのこと。サスとも言う)。昆布の消費量は依然として多く,近所にも昆布締めの工場がある。鯛も昆布締めの方がうまいと思う。

 また先日,飲みに行ったら,焼酎の水割りにカットした昆布が入っているのにビックリしたが,アリだった。

 なぜ,こんな話を書いたかと言うと,小学5年生になった末娘ほのちゃんが「はかいったけ?」ちゃ,どういう意味やったけ?と聞いたからである。「はかいったけ,はかいったけ?」と挨拶代わりにたずねる富山県民には毎日墓参りに行く先祖思いの人が多いのではない。まあ,ちょっとはそうかもしれないが,はかどったことをはかいったと言うのである。

 5月17日 のんきなことばかり書いているが,新型インフルエンザが大阪府下で発生したことにより,こうしろうの大学が1週間休講になった。こうしろうにメールでたずねたところ,1週間単位で判断するというスタンスらしい。テレビのニュースでは,当初,大変な緊急事態であるかのような報道が多かったが,マスクが売り切れたこと以外,生活レベルで大きな変化はないという状況らしい。万が一,富山に流行させてはいけないと寮でボーとしているこうしろうに,母は救援物資を送ろうと箱詰めをする。

 気の早い人が多いのかマスクは富山県の薬局,ドラッグストアでも売り切れていた。オイルショックのときのトイレットペーパーのようだ。皮肉なことに大阪屋ショップというスーパーマーケットに在庫があった。

 大阪屋ショップという名前ではあるが,本社が大阪にあるとかそんなことは全然なく,富山で創業され県内に20店舗以上を展開するチェーン店である。なんにしても大阪屋ショップに感謝である。

 そのほかには,消毒効果があるのかどうかはっきりしない竹酢入り石けんとか,カレーなどのレトルト食品,そして米だから朝食の代わりになると誰かが主張している柿の種などが急遽,大阪に送られることになった。結局,いつも送っているものにマスクを追加しただけの緊張感ない救援物資である。

 とりあえず,米さえ炊ければ,一週間は食いつなぐことができるだろう。新型インフルエンザの感染がなるべく早く収まることを祈っている。

 さて,こんなマインドストームのマの字も出ないMindStorms日記がありなのか,編集長に怒られはしないかと心配なので,救援物資を送った段ボール箱がレゴなのだというオチを付けておく。