苦労せずに、ハードやソフトが売れる時代は終わった。一方で、クラウドコンピューティングに代表される技術革新の波によって提供すべきサービスの姿は変わりつつある。今こそ、自らの得意分野を見極め、何を提案するかを見直す時期だ。
 そこで本誌は今回、ソリューションプロバイダが取るべき方向を七つにまとめ、チェックリストを使って簡単に適性を占えるようにした。さらにIT業界の識者による座談会を実施し、不況に勝ち残る術を議論してもらった。



 「RFP(提案依頼書)をもらえないのに、何を提案したらいいのか分からない」「IT投資意欲が冷え込むなか、何を売ればいいのか」─。ソリューションプロバイダからは、こうした嘆きが聞こえてくる。

 この傾向は調査からもうかがえる。2009年3月中旬に本誌が実施したミニアンケートでは、「2008年秋以降、顧客に何を提案すべきか迷うことが増えましたか」という問いに、31人中15人が「はい」と回答している。

 だがITサービス業界には取り組むべきテーマや提案すべきものがいくらでもある。新たな契約への挑戦、新サービスや新ビジネスへの参入がそうだ。一見、新規参入の余地がないように見える分野も、やり方次第で成功する可能性は多いはずだ。

 本誌は、識者やハード、ソフトのベンダー、SIerへの取材を積み重ね、ソリューションプロバイダが取るべき方向を七つにまとめた。

 具体的には、「成果に応じた多様な契約」「クラウドの活用」「従量課金によるIT基盤の提供」「ITインフラ全体の仮想化」「アプリケーションの運用・保守サービス」「セキュリティやリスクマネジメント関連サービスの提供」「プロジェクトマネジャーやITアーキテクトの派遣」である。

 問題は、これらのなかから何を提案すべきかが分かりにくいことだ。ソリューションプロバイダのビジネスモデルは多種多様である。こうすれば絶対に成功するという真理は存在しない。

 「注目が集まっているから」「他社が扱っているから」といった理由で選んでも、成功するとは限らないのである。必要なのは、自社に合っている提案が何かを知ることだ。

 そこで本特集では、七つの方向のどれに取り組むべきかがすぐに分かるチェックリストを、編集部が独自で作成した。

 まずはチェックリストを試してほしい。



本記事は日経ソリューションビジネス2009年4月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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