Linuxディストリビューション「Ubuntu」の次期版「Ubuntu 9.04」(開発コード名「Jaunty Jackalope」)は米国時間3月26日,ベータ段階に入った。

 Ubuntu 9.04では,旧版の「Ubuntu 8.10」(開発コード名「Intrepid Ibex」)からさまざまな機能強化が図られている。具体的には,新しい通知システム,起動プロセスの変更,Ubuntuでは初となるクラウドコンピューティングへの対応などだ。

 そのほかにアップデートされているのは,デスクトップ環境「GNOME」(最新版はバージョン2.26で,オールインワン型のCD作成アプリケーション「Brasero」を標準装備するほか,マルチモニタの取り扱いも向上している),Linuxカーネル(最新版はバージョン2.6.28),「X.org」サーバ(最新版はバージョン1.6)などだ。また,ファイルシステム「Ext4」へのサポートも追加されている。

 Ubuntu 9.04に続く「Ubuntu 9.10」(開発コード名「Karmic Koala」)では,クラウドコンピューティングへの本格的な対応に向かう予定だ。ただし,Ubuntu 9.04のサーバ版は,「Elastic Utility Computing Architecture for Linking Your Programs To Useful Systems」(Eucalyptus)のテクノロジプレビュー版を搭載し,クラウド対応を一歩進めている。

 Eucalyptusはオープンソースソフトウェアのインフラで,クラウドへのアプリケーション実装を担う。そのインターフェースはAmazon.comのクラウドコンピューティングサービス「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」のAPIと互換性があり,これが搭載されたことで,Ubuntu 9.04のユーザーは,EC2のAPIに対応する自前のクラウドを実装しテストできるようになった。

 Ubuntu 9.04ベータ版の機能紹介ページによると,ユーザーは「仮想マシンを動的に作成することや,複数のクラスタを単一のクラウド内に構成すること,さらには『Amazon Elastic Block Store(EBS)』と同等のサービスや『Amazon Simple Storage Service(S3)』と互換性のあるストレージマネージャを提供することも」可能になるという。

 同ベータ版には既知の問題がいくつかあり,Ubuntu 9.04のページに掲載されている。Ubuntuプロジェクトを支援するCanonicalはユーザーに対し,ベータテストの期間を4月23日までと告知している。4月23日には,Ubuntu 9.04の正式版がリリースされる予定だ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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