Googleは,5年前のPC用ブラウザに「Gmail」を導入して実現したことを,モバイル向けのウェブメールサービスで再現しようとしている。

 Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントで,モバイルアプリケーションとデベロッパーエバンジェリズムを率いるVic Gundotra氏は米国時間4月3日,「Web 2.0 Expo」の壇上インタビューにおいて,このウェブアプリケーションの「テクニカルプロトタイプ」を披露した。Googleは現在,「BlackBerry」や「Android」搭載携帯電話といった端末上で稼働するGmailアプリケーションを提供しているが,ウェブベースのバージョンも提供する高い目標を持っているのは明らかだ。

 携帯電話においてブラウザの洗練とインターネット接続の向上が進む中,ウェブ用のインターフェースを構築することは,Googleがより多くの電話により容易に到達可能になることを意味する,とGundotra氏は述べた。「あらゆる携帯電話で利用できるアプリケーションを作れたらどうなるか,想像してみるといい」(Gundotra氏)

 2009年2月の似たようなデモで行ったように,Gundotra氏はiPhoneとAndroid搭載端末で稼働するバージョンを披露した。Android端末の方は,どうやら「HTC Magic」のようだった。

 このソフトウェアは,ウェブサイトの設計を支える技術標準「HTML 5」(現在も開発中)の機能を利用している。具体的には,オフラインのデータアクセスを利用するもので,インターネットに接続していない状態でも電子メールを読むことが可能になる。

 Gundotra氏は,「当社がこれを広く公開するとき,一般ユーザーが初めて目にするHTML 5対応モバイルアプリケーションとなるだろう」と述べたが,公開を予定している時期については言及を避けた。「2004年のGmailと同じような出来事になるだろう。当時のGmailは,AJAXアプリケーションにとって重大な分岐点だった」(Gundotra氏)。GmailはJavaScriptを利用して,ブラウザベースのインターフェースの洗練度を高めている。

 モバイル向けGmailアプリケーションでも,受信ボックスの最上部には常にツールバーが浮かんでおり,メッセージの削除や保存を実行するボタンや,他のオプションを呼び出すメニューに,いつでもアクセス可能だ。

 モバイルはGoogleの取り組みにおいて中核を成すものだ。同社がiPhoneや他の一部モデル向けに提供している検索アプリケーションではすでに,タイピングだけでなく音声でも検索できるようになっている。音声認識の精度は2009年第1四半期に15%向上し,サービスの利用が急増している,とGundotra氏は述べた。

 Gundotra氏はかつてMicrosoftで働いていたが,当時4歳だった娘の言葉がきっかけで,Googleで働くことになった。Gundotra氏が友人に向かって,質問の答えが分からないと話したところ,そばで聞いていた娘が,「パパ,パパの電話はどこ?」と尋ねたという。