Hewlett-Packard(HP)の幹部が,低価格ネットブックにGoogleのOS「Android」を搭載することを検討している,とThe Wall Street Journal(WSJ)に語った。

 WSJは米国時間3月31日に掲載した記事の中で,HPのPC部門担当バイスプレジデントを務めるSatjiv Chahil氏がGoogleの同OSを研究していることを認めたと報じた。

 WSJの記事では,「われわれは,コンピュータおよび通信業界から見たAndroidの性能を評価したいと考えており,そのため研究を進めている」というChahil氏の発言が引用されている。

 記事によると,HPがAndroid搭載機器の販売を検討しているかどうかについては,Chahil氏は言及を避けたという。

 Androidは,もともと携帯電話向けに設計されたLinuxベースのOSだ。現在入手できる製品でこのOSを採用しているのは,High Tech Computer(HTC)製の携帯電話「T-Mobile G1」だけだ。HTCは2009年2月,Androidの搭載を予定している新しい携帯電話「HTC Magic」を発表した。サムスンやMotorolaなど携帯電話メーカー数社も,Androidベースの携帯電話を売り出す計画を発表している。

 だが,専門家は現在,オープンソースOSのAndroidが,ネットブックと総称される急成長中の低価格ノートPCなど,他の機器に搭載される可能性があると予測している。実際,市場調査会社のOvumは最近,メーカー各社がネットブックの価格を200ドル前後かそれ以下に抑えようとしていることから,2009年にはAndroidを搭載したネットブックが登場するだろうと予想した。

 理由は簡単だ。AndroidのようなLinuxベースのソフトウェアが無償であるのに対して,MicrosoftはOS「Windows」に高額なライセンス料を課金している。超低価格を目指すなら,メーカー各社はできるだけコストを削減する必要があるが,これはWindows離れを意味する。

 問題は,大半の消費者はWindows搭載PCに慣れているので,オープンソースOSのLinuxを採用したネットブックよりもWindowsベースのネットブックを好むことだ。

 Ovumのオープンソース調査担当ディレクターを務めるLaurent Lachal氏は,Androidがこうした傾向を覆すかもしれないと考えている。特に,Androidソフトウェアを搭載する携帯電話が増え,GoogleのAndroid向けアプリケーションストア「Android Market」が新しいアプリケーションの品ぞろえを増やしている状況から,そうした変化が予想されるという。

 Android Marketは,2009年2月から個人のソフトウェア開発者がアプリケーションを有料で販売できるようにしたので,開発者コミュニティから一層の支持を集めるだろう,とLaurent氏は予想している。

 HPは以前から,MicrosoftのWindowsに代わる低価格で使いやすいネットブック用インターフェースを提供する方法を模索していた。同社は2008年10月,カジュアルなオンライン使用を想定した「Mini 1000 MIE」を発表した。これは,「Windows XP」を採用した「Mini 1000」ネットブックのLinuxバージョンという位置づけだ。Mini 1000では8.9インチまたは10.2インチの画面を搭載するモデルが449ドルなのに対して,Mini 1000 MIEの価格は379ドルとなっている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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