Microsoftは米国時間8月18日,「Windows 7」のサーバ版は,メジャーリリースに位置づけられるのではなく,「Windows Server 2008 R2」の名を冠することになると明らかにした。

 これは驚くべき展開である。なぜならMicrosoftは,過去に「R2」という名称を,製品に加えられる大きな変更ではなく,わずか数点の新機能のみを搭載する製品に付けてきたからだ。

 Microsoftは,Windows Server 2008 R2の詳細を明らかにしようとはしなかったものの,広報担当者は,それがWindows 7のサーバ版になることを認めた。Windows Server 2008 R2のリリースは,2010年頃に予定されていると,Microsoftは述べている。

 この展開は,そもそもWindows 7が,デスクトップ版では,どれほど「Windows Vista」と異なったものになるのかという疑問を呈するものとなる。MicrosoftでWindowsのデスクトップ版の開発を統括するSteven Sinofsky氏は,PC向けのWindows 7が,カーネル構造,ドライバ互換性などで,(Windows Vistaと)大きく異なることはないものの,Windows 7はメジャーリリースに位置づけられると主張している。

 Microsoftは,Windows 7のデスクトップ版には,新しいマルチタッチインターフェースが搭載されることを明らかにしてきたが,その他の機能に関しては,多くを語ってこなかった。

 ZDNetブロガーのMary Jo Foley氏のリポートの後に,MicrosoftはWindows Server 2008 R2などの名称のロードマップを公表した。Foley氏は当初,Microsoftが,マイナーリリースとなるR2をスキップして,次期版ではダイレクトにメジャーリリースへと移行すると伝えていた。しかしながら,Microsoftは,Windows 7のサーバ版が,マイナーリリースに位置づけられることは間違いないと確証したのだ。

 サーバのロードマップを示すページ上で,Microsoftは,マイナーリリース(アップデートリリース)に関して,次のように記している。

 アップデートリリースは,以前のメジャーリリースに,最新のサービスパック,選りすぐりのフィーチャーパック,新機能などが統合される。このアップデートリリースは,以前のメジャーリリースをベースとしているため,典型的なサービスパックの導入に求められるようなテスト作業以外に,特別な検証が必要となることはなく,顧客は難なく採用に踏み切ることができる。何らかの新機能が,アップデートリリースにて追加で提供される場合も,オプションでの提供に限られ,アプリケーション互換性に影響を及ぼしたり,アプリケーションの再検証などが求められたりすることはない。

 ここで争点となるのは,「Windows 7 Server」が,サービスパック以上の検証を必要としないのであれば,数々の批判にさらされてきたWindows Vistaに大きく改良を加えるのに足る新機能を,本当にデスクトップ版のWindows 7で実現したりできるのであろうかというポイントである。

 Microsoftが,サーバ版とクライアント版を,どのように位置づけようとしているのか,理解に苦しむと感じているならば,それは珍しくもないことだ。筆者は,Microsoftのサーバ開発チームから,さらなる詳細を聞き出そうと努めてみたものの,あまり成果は得られなかった。Windowsのデスクトップ開発チームにも,どのような回答が得られることになるのか,少し当たってみたいと考えている。

 Microsoftは,ロサンゼルスで10月後半に開催予定のProfessional Developers Conference(PDC)にて,Windows 7の技術的な詳細を明らかにする計画であると語っている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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