技術ニュースサイトのArs Technicaが米国時間8月4日夜に伝えたところによると,Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は,同社が「iPhone 3G」はじめそのほかの大型製品のリリースと同時に「MobileMe」サービスを開始したのは,「間違い」だったと認めたという。

 Ars Technicaは,Jobs氏が従業員に宛てた社内メールを引用し,MobileMeには問題が残っており,リリースが早すぎたことを認めた,と報じている。その社内メールでJobs氏は,MobileMeサービスの立ち上げについて,もっとうまく対処できたはずだと述べたという。同氏はまた,同サービスが「Appleの基準に達していない」ことも認めた。そして,すべてのMobileMeサービスを一斉に開始するのではなく,個別に時間をかけて立ち上げてもよかった,と述べたという。

 Ars Technicaは,Jobs氏の社内メールから次のような文面を引用している。「iPhone 3G,『iPhone 2.0』ソフトウェア,および『App Store』と同時に,MobileMeを開始するのは間違いだった。われわれは皆,過剰なほど仕事を抱えていたし,大きな影響を出さずにMobileMeを遅らせることもできたはずだった」

 MobileMeは,Appleの「.Mac」サービスをリニューアルしたものだ。基本的にはクラウド型のストレージソリューションで,同サービスに登録すると,電子メール,カレンダー,アドレス帳,写真,「Safari」のブックマーク,「Dashboard」ウィジェットなどを,「Mac」「iPhone」「iPod touch」間で同期できるようになる。Appleのサーバ上に20Gバイトのストレージが提供され,Windows搭載コンピュータ上の「Outlook」とも連携する。MobileMeはウェブ上に構築されているので,登録ユーザーはどんなウェブブラウザからでもオンラインアプリケーションにアクセスできる。

 しかし,7月10日のリリース以来,MobileMeではいくつも問題が生じた。特に目立ったのは,登録ユーザーがサイトにアクセスできなくなったトラブルで,中には電子メールを失った人もいた。

 AppleはMobileMeの状況を報告するブログを開設し,ユーザーに同サービスの最新情報を伝えることにした。Appleはここで,障害がピークに達していた7月16日から18日までの間,一部ユーザーが10%の電子メールを失ったことを認めている。

 とはいえ,電子メール問題の影響を受けたのはMobileMeユーザーのわずか1%だった,とAppleは主張している。このブログの記述によれば,問題のメール消失は,「メールサーバのうちの1台で起こった深刻な問題」に起因するという。

 MobileMeの利用者はまた,スケジュール帳やアドレス帳にアクセスできない問題にも直面した。これは需要の判断を誤ったことが原因だった,とAppleのブログは説明している。

 この最新の社内メールで,Jobs氏は従業員に向けて,今回の過ちから学び,前に進むよう鼓舞している。

 Ars Technicaは,Jobs氏のメールから次のような文面を引用している。「MobileMeの立ち上げではっきりと示されたのは,われわれにはインターネットサービスについてもっと学ぶべきことがあるという事実だ。そして,われわれはきっと学ぶ。MobileMeのビジョンは,エキサイティングであると同時に野心的でもある。われわれは,MobileMeが2008年末までに当社の全員が誇れるサービスになるよう,努力を続けるのだ」

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

関連記事