日立製作所の「JP1」と富士通の「Systemwalker」は、システム運用管理ソフトの分野で、首位を争う関係だ。ノークリサーチが2007年に実施した調査によれば、導入ユーザー企業数では1位がJP1(37.5%)、2位がSystemwalker(24.0%)になる。

 両社の製品は、パートナー企業の評価でも競う。本誌がメーカーのパートナー企業を対象に実施した「第10回パートナー満足度調査」のシステム運用管理ソフトの分野で、日立が首位、2位は富士通だった。

 ユーザー企業やパートナー企業から高い評価を得ていても2社は、製品強化の手をゆるめていない。いずれも今春、システム運用管理ソフトの最新版を市場に投入。日立は3月に「JP1 V8.5」を、富士通はこの6月に「Systemwalker V13.3」を出荷する。

 システム運用管理ソフトの基本機能は、ハードウエアの監視やジョブ管理、ソフトウエア配布、資産管理などである(表)。これらの基本機能だけでは、「差異化が難しくなっている」というのが両社の一致した意見。こうした状況を打破するため、日立と富士通は「グリーンIT」と「内部統制」といった新機軸を、パートナー企業やユーザー企業に打ち出そうというわけだ。

グリーンIT化を訴える日立

 グリーンIT対応をうたう日立のJP1 V8.5は、パソコンの消費電力量やマシンルームの熱分布などのデータを自動的に集約、一元管理できるようにした。JP1 V8.5を導入すれば、システム運用担当者は、パソコンが使用されていない時に、モニターの電源が入っているかどうかや、プロセサが省電力モードになっているかを監視できる。

 ユーザー企業にとって、グリーンIT化は、CSR(企業の社会的責任)や省エネルギー法の改正、IT支出の最適化といった観点から重要なテーマだ。情報システム関連機器が消費する電力量を削減することは、重要なテーマになっているのだ。

 パソコンやモニターの消費電力量を一元管理できれば、ユーザー企業は、グリーンIT化に向けた具体策を打ちやすくなるといったメリットがある。「システム運用管理ソフトとして、グリーンIT化を支援する機能を備えているのはJP1だけだ」。日立製作所の友成文隆販売推進本部販売企画センタ部長付は自信を見せる。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年5月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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