Intelは,ウェブ全体を編集可能にしたいと考えている。ウィキペディアの1ページのように。

 Intelは米国時間4月22日,ユーザーがウェブページを変更したり,異なるサイトからの情報を統合したりすることのできる無償のブラウザ拡張である「Intel Mash Maker」のベータ版をリリースした。Intelによると,最初のベータ版は,「Firefox 3」と「Internet Explorer 7」で動作するが,現時点ではFirefoxで使用する方が機能が充実しているという。

 Intelの研究所で開発された同製品は,グラフィカルデザインツールを搭載する点において「Yahoo Pipes」や「Microsoft Popfly」などの既存のマッシュアップツールに似ている。

 それらと異なるのは,Intel Mash Makerによる情報の実際のマッシュアップが,サーバではなくクライアント上で実行される点である。したがって,例えば「Google Maps」に不動産物件情報をプロットする場合,Intel Mash Makerでは,別のウェブアプリケーションを作成するのではなく,不動産物件掲載サイトに視覚的情報を付加するウィジェットを追加することができる。

 つまり,ユーザーは,既存のウィジェットをコピーするか,ウィジェットを別のウェブページへとカスタマイズすることにより,ウェブページを独自にカスタマイズすることができるというわけだ。例えば,Expediaのフライト検索結果で「leg room(足が伸ばせる余地)」を表示するウィジェットを持つユーザーは,それを他の旅行サイト向けに変更することが可能となる。

 Intel Researchのシニア研究者でMash Maker開発者でもあるRobert Ennals氏は,「ウェブサイトのカスタマイズ工程を一般開放しているのだ」と述べた。

 Intelは,ユーザーがよく使用されるウィジェットを検索可能なギャラリーを用意し,アイコンをFirefoxツールバーにドラッグすることによってそれらを自分のブラウザに追加できるようにしている。ウィジェットはコピー可能で,ウィジェットを拡張するためのAPIもある。JavaScriptプログラマならば,自分で作成してもよい。

 Intelはすでにいくつかのウィジェットを作成済みである。例えば,CraigslistとYelpのマッシュアップでは,検索地域内の店のレビューを参照し,その情報をGoogle Mapsに表示することができる。

 同製品は,開発者が情報の表示方法を変更できるようにするためのFirefox拡張である「Greasemonkey」に大きく影響を受けて開発された。

 しかしMash Makerの方がずっと安全であると,Ennals氏は述べた。またエンドユーザーがウェブのサーフィン中にアクセス可能で,技術に詳しいユーザーならば,プログラマでなくても,視覚的なツールを使って独自にカスタマイズすることができる。

 「インターネットの本質を変えようとしている。つまり,インターネットはページの集合ではなく,情報の集合なのだ。そしてその情報の見方を,ユーザーが協力しながら選択できるようにしたいと思っている」とEnnals氏は述べた。

 同氏はこの製品が,消費者だけでなく,例えば,ウェブマッピングサービス上に顧客データを表示したいと考えるビジネスユーザーにも利用されることを望んでいる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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