子供の権利擁護グループの要望が聞き入れられれば,ウェブサイトやマーケッターが13歳未満の子供からデータを収集することを禁じる規則の対象が18歳にまで拡大される可能性がある。

 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics),Children Now,Center for Digital Democracy(CDD)などで構成されるこのグループは米国時間4月11日,米連邦取引委員会(FTC)に対して,ティーンエイジャーの少年少女がMySpaceやFacebookなどのサイトに参加するときに,彼らをデータ収集やターゲット広告から保護する規則を確立するように要求する計画だ。

 要求が聞き入れられると,ソーシャルネットワークはティーンエイジャーの少年少女の行動に合わせてオンライン広告をカスタマイズすることを禁じられるかもしれない。例えば,Facebookのプライバシーポリシーによると,同社はターゲット広告を送信する目的でメンバーに関するデータを使用できることになっている。

 CNET News.comが確認した書簡のコピーには,「われわれはFTCに対して(中略)業界が『機密情報』に18歳未満のすべてのユーザーのオンライン活動を含めるようを定義し,行動ターゲティング広告の目的でそうした機密情報を収集することを禁止する自主的なガイドラインを採用するように勧告することを要求する」と書かれている。

 機密情報とは,電子メールアドレスや自宅の電話番号といったある人物の連絡先情報やその人が習慣的に閲覧するウェブサイトに関する情報を指す。

 この書簡は,FTCによって提案されている双方向マーケティングのプライバシー基準へのコメントの期限に合わせて11日に手渡される。FTCはいくつかの規則の中でも特に,業界が自主規制し,ターゲット広告を目的として消費者に関する情報を収集する何らかの意図がある場合には,それを消費者に開示し,そのための消費者の同意を得るように提案している。

 しかしCDDなどの団体は,FTCがさらに一歩進んで,児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)を拡大して13~18歳の少年少女も対象に含めることを望んでいる。1999年に発布されたCOPPAにはいくつかの条項があるが,特にウェブサイトが児童の個人情報を収集する前に親の同意を得ることを義務付けている。

 「思春期の少年少女は幼い児童と比べると消費者として世慣れてはいるが,プライバシーに関して彼らの年齢特有の弱みを持っている。思春期の少年少女はオンラインで他者とかかわるときに(その過程で個人情報を提供しなければならないなど)大きな圧力に直面しており,個人情報を広告主,他の個人,第三者に提供することによって発生しうる長期的な結果についてあまり理解できていない」と書簡は指摘している。

 一方,Facebookは独自のプライバシーポリシーによってこの種の懸念にある程度対応している。Facebookのプライバシーポリシーでは,13~18歳の少年少女はFacebookを利用する前に両親の了承を得なければならないとしており,Facebookでは13歳未満の児童に関するデータを意図的に収集することはないと規定している。しかし,ほとんどのソーシャルネットワークと同様に,成人に関しては野放し状態である。

 「Facebookは,あなたを個人として特定することなくあなたのプロフィールの情報を第三者に提供することがある。その目的は,ネットワークでどれくらいの人数のユーザーが特定のバンドや映画を好んでいるかといったデータを集計し,広告やプロモーション活動を個人に合わせてカスタマイズし,あなたに合ったFacebookを提供できるようにするためである」とFacebookのプライバシーポリシーには書かれている。

 CDDはまたFTCに対して,児童を広告の対象とする目的で児童が習慣的に閲覧するウェブサイトに関するデータをウェブサイトが収集できないようにCOPPAの規定を明確化するように要望している。

 具体的には,同書簡はFTCに対して,「広告主が行動ターゲット広告の一環としてその子供に合わせてカスタマイズした広告を送付するために使用する情報を収集するときには,両親からそれに同意する明白な承諾を必要とするとことを規定するようにCOPPAを改訂および明確化する」ように要求している。

 CDDのエグゼクティブディレクターであるJeff Chester氏は,同氏が率いるグループや他の団体はFTCが時代の要求に対応するように働きかけようと試みていると述べた。

 「FTCはいまだにオンラインマーケティングに関して1990年代後半の理解しか持っていない」とChester氏は述べる。Chester氏は1998年にCOPPA制定のキャンペーンを率いた人物の1人である。「この書簡は,FTCがFacebookやMySpaceが登場している時代に児童や思春期の少年少女のプライバシーを保護する必要性を認識する一助になるはずだ」(Chester氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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