12月26日 年の暮れなので,こうしろうが大阪から帰省した。父は息子とロボット教室談義ができることがうれしい。

 こうしろうは,ダイセン電子工業のTJ3で,ロボット教室に通う中学生に何をさせたらよいか考えている。父は,赤外線式ボールでマインドストームでロボットを作る小学生にどんな競技をさせたらよいか悩んでいる。

 しかし,こうしろうは帰省した翌日から,同じように帰省している友人たちと遊び歩くのに夢中であまり顔を合わせる時間がない。一方,小学3年生の娘ほのちゃんは,前回紹介したデスクロボに夢中である。

 12月29日 今年も残すところ3日である。ほのは,デスクロボ第1号の残りのページに進む。あと数ページでテキストの第1号は終わりなのだが,これがいささか難物だった。

 まず,3秒直進して,1秒間右に曲がるプログラムを作る。

NXTソフトウエアでは,曲がるという動きは簡単に指定できる。スライドバーでBとCのポートにつないだモーターのバランスを変えてやるだけでいいのだ。

 しかし,ロボットを指定した角度だけ曲げるのはなかなか難しい。

 片方のモーターだけを指定時間回すことで,90度曲げることはできる,さらに,マインドストームNXTのモーターはサーボモーターなので,時間だけでなく,回転数や回転角度を指定することができるのだ。

 まず,ほのは時間を指定して直角に曲げることにチャレンジした。1秒を指定すると,90度まではいかない。「2秒にすればいいかな」と,ほのは言う。小学3年生は小数点以下の数字を知らない。2秒を指定すると,ロボットはぐるーんと150度ぐらい曲がってしまった。 

 紙に直線を引き,0,1,2と大きめに目盛りを入れる。それから,1と2の間に細かい目盛りを入れる。「大きい目盛りが1秒だとしたら,小さい目盛りが0.1秒だ」と説明する。

 ほのが1.2秒に設定すると,ロボットは直角に曲がった。「これと一緒にやれば,算数も楽しい」と言う娘に,久しぶりに父は得意満面だ。

 次に,回転数を指定して直角に曲げる。2回転を指定することで,約90度ロボットが曲がった。

 回転角度を指定する方法が,ほのを苦しめた。サーボモーターなので,90度モーターを回すといった細かいコントロールが可能なのだが,モーターの回転角度と方向転換の角度が頭の中でごっちゃになってしまう。それから,モーターの一回転がなぜ360度なのか,小学3年生にはわからない。絵を書いて説明するが釈然としない様子だ。

 多少もやもやを抱えたまま,デスクロボ第1号の最後の課題に進む。

 床にビニールテープを貼り,コースを作る。テキスト通りの寸法だと,年の暮れの人口密度の高い時期にはじゃまになるので,2分の1に縮小したコースだ。しかし,ロボットの大きさに比べて小さ過ぎるコースだと,小回りが効かないのでより難しくなってしまう。

 直進する,曲がる,直進する,曲がる・・・を繰り返していくと,プログラムはこんなに長くなってしまい,どのプログラムブロックがどの曲がり角に対応しているのか,ほのはすぐにわからなくなってしまう。また,片方のモーターを回す秒数を指定して曲がり角に対応すれば難しくないのに,角度を指定して曲がろうとするので,よりややこしくなってしまった。

 全部頭で考えないで,少しずつ調整していくことで,なんとかゴールにたどり着いた。

 「角度がわかりにくい」というほのちゃんに,こうしろうが丸いケーキを分けるたとえで角度を説明して,2007年は暮れていった。