この「こうしろうのMindStroms日記」は,こうしろうが小学5年生のときに始まった。こうしろうはもう大学1年生となり,兵庫県川西市にあるロボライズというロボット教室でアルバイトをしている。こうしろうがいないときに,せっせとマインドストームで遊んでいた次男かずは高校1年生となり,陸上部で走り続けている。我が家で唯一の体育会系である。

 MindStroms日記を書き始めたときには1歳にも満たない赤ちゃんだった長女ほのは現在,小学3年生である。「ほのちゃん,お父さんと一緒にマインドストームNXTやるか?」と,ある晩,声をかけた。「やる!でも,この目みたいのが,いや。カマキリみたいから」。

 ほのには嫌いなものがたくさんある。雷,虫,鳥,鳥が嫌いだから,木々がうっそうとした公園にも行きたがらない。そして,給食で出てくる小魚アーモンド。何でこんなおつまみみたいなものが給食で出てくるのか不思議ではあるが。

 そして「今年のロボット」大賞2007で優秀賞に選ばれた教育用レゴ マインドストームNXTでほのに嫌われた部品が,この超音波センサーである。超音波センサーはコウモリのように超音波を放ち,反射が戻ってくるまでの時間で物体への距離を測る。目にあたるセンサーと言ってよいだろう。

 マインドストームNXTにはもう一つ,目にあたるセンサーがある。それはRCXでライントレースに大活躍している光センサーだ。

 触覚にあたるタッチセンサーはRCXと同じく二つ付いている。

 マインドストームNXTには,聴覚にあたるサウンドセンサーもある。これを使えば,手をたたいたら寄ってくるロボットが作れるだろう。

 この教育用レゴ マインドストームNXTに4回シリーズのテキストが付属しているセットが12月3日に発売になった。株式会社アフレルのホームスクーリング「デスクロボ」シリーズである。

 アフレルのテキストというと,これまではこのREALシリーズのように学校の教材という感じが強かったが,家庭学習用のデスクロボは表紙が柔らかい。

 ロボジョイくらぶという会員サイトで情報交換したり,『レゴの仕組みで遊ぶ本』の著者五十川さんをはじめとするマイスターの知恵を学べるところがデスクロボの特徴だ。

 この日記の読者からも「うちでも子供にやらせたいのだけど,うまく行かなくなったら,自分もわからないからどうすればよいか」というメールをいただいたことがある。デスクロボだと会員サイトで情報を得られるので心強い。

 このデスクロボを使って,小学3年生の娘ほのちゃんとロボットを作ることにしたのだ。5,6年生だと,テキストを頼りに一人でロボットを組み立てることができるかもしれないが,3年生だとまだ厳しい。説明文にまだ読めない漢字が多く出てくるからだ。こうしろうがMINDSTORMSを始めたときは英語版だったので,当時小学5年生の長男には大きな英語の壁があった。小学3年生の長女には,漢字の壁がある。まあ,実際には漢字の多い説明など読まないで,絵を見てどんどん進めていくのではあるが。
 
 12月23日 朝10時からMindStormsを始めた。

 NXT本体と三つあるサーボモーターや各センサーのつなぎ方,それからPCとUSBケーブルで接続する方法を説明する。テキスト「デスクロボ」第1号には,モーターやセンサーが実社会でどう使われているかが解説されているが,そこはそこそこにしてロボットの製作に入る。第1号ではジョイボットという名前のローバーを作る。

 最初だけは「こことここにはめて」と隣で説明したが,ほのはRCXで何度かロボットを組み立ているので,しばらくすると自分で組み立て図を見ながらどんどん進み出した。2,3カ所間違えて後戻りしたが,11時半過ぎにはジョイボットが完成した。

 もうすぐ昼食だから,今日はこのぐらいでやめるかと言うが「ご飯食べてから,プログラムもやってみたい」とほのは言う。昼からは年賀状を作る予定だったのだが,RCXのときはそうでもなかったほのがMindStormsに興味を持ってくれたことがうれしくて,昼食後,プログラミングを始める。

 デスクロボでは,NXTソフトウエアでプログラムを作成する。

 左側のパレットから,プログラミング・ブロックを選び,中央のワークエリアに配置する。モーターB,Cを動かす移動ブロックを一つ配置したところだ。右下のボタンでプログラムのNXTへのダウンロードなどを実行する。

 ほのと10秒前進するプログラムをダウンロードして実行してみたが,ジョイボットはカエルみたいにグワッ,グワッと音を立て,一瞬動いて止まってしまう。原因はコネクタがきちんと差し込まれていなかっただけなのだが,RCXとはコネクタの形状が違うので戸惑ってしまう。

 もう1点戸惑ったのが,NXT側でのプログラムの選択である。テキストには,簡単なプログラムを作ってダウンロードしたら,My FilesからSoftware files-->program-1-->program-1 Runを選んで,実行せよと書いてある。ところが,NXTの液晶にprogram-1は表示されずに,program-3とdemoが表示されていた。program-1やprogram-3はPC上でのプログラム名と一致しているのだが,それに気が付くのに少し時間がかかってしまった。 

 その理由はというと,ロボットプログラミング講習会でも使っているRCXでは,プログラムはプログラム1,2,3,4,5という五つのスロットに記憶するのである。そして,ハードウエア・スイッチでプログラムを選択して実行する。しかし,さすが32ビットのNXTである。NXTは,よりコンピュータらしくなっており,PC側のプログラム名をそのまま受け入れ,メモリー上で管理しているのだ。

 NXTでは,サウンド・ファイルを再生したり,ディスプレイ上にイメージを表示することができる。ほのが作ったプログラムは,音を鳴らして走り出し,変な顔を表示してLaughing02というサウンド・ファイルを再生し,笑い声を響かせる。最後に,10秒待機のコマンドを追加したのは,変な顔を撮りたい父である。

 プログラミング・ブロックの詳細な動作は,プロパティで指示する。移動ブロックでは,動かすモーターや方向,パワーや時間を指定できる。

 音ブロックでは,サウンド・ファイルやボリュームを指定する。移動ブロックのプロパティの設定の仕方だけを説明すると,あとはほのが自分でプロパティを設定した。

 これが,イメージ・ファイルとして表示させている変な顔だ。ほのはゲラゲラと大笑いだ。音声や変なイメージは子供をとりこにする。

 なんとこの日,ほのは4時間近くMindStormsをしていたことになる。またやるか?と聞くと即座に「やる!」と答えたので,このシリーズはしばらく続きそうである。

 それでは,良いお年を!