野村総合研究所(NRI)は2008年1月から、買い物のレシートを専用OCRで読み取り、消費者の購買行動をマーケティングのデータとして提供するサービスを開始する。データ収集のため、女性向けWebサイトを運営する学習研究社と手を組んだ。



 「コンシューマ製品を手掛ける企業に共通する悩みは、個人顧客を知るためのデータが社内にないこと。ここを支援しないと、当社にとってもソリューションの提案力が上がらない。そこでレシートから消費実態を捉え、データとして提供するサービスを考えた」。NRIの松本崇雄サービス事業コンサルティング部主任コンサルタントは、新サービスの背景をこう語る。

 消費財や食品などのメーカーが売れ筋をつかみたい場合、大型スーパーやコンビニエンスストアのPOS(販売時点情報管理)データを購入するケースがある。しかし、すべての小売業者がPOSデータの提供に協力しているわけではない。メーカーにしてみれば、断片的な消費実態データしか入手できていないのが現状だ。「お金を出してでも買いたい情報を入手できないため、困っているメーカーは少なくない」(松本主任コンサルタント)。

 NRIは以前から、企業のマーケティング力強化に向けたコンサルティング事業や、データ収集/分析システムを構築してきた。ところが「マーケティングの基礎になる消費者の実態データがなければ、当社の提案も絵空事で終わってしまいかねない」(松本主任コンサルタント)との課題を抱えていた。

 そこでNRIは、独自で消費実態の調査を手掛けることにした。マーケティングのデータとして顧客企業に提供できるうえ、コンサルティングやシステム構築といった事業の補強にもつながるからだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2007年12月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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