Microsoftのニュースがなければ,「Google Analyst Day」では当然Googleが話題の中心となっていたことだろう。

 Google幹部らは米国時間10月24日,Google Analyst Dayの会場において企業向けのGoogle Appsについて大きく取り上げたり,無線周波数帯の割り当ての入札に参加する理由を説明したり,DoubleClickの買収が認可されると楽観視していると述べたりする一方で,Facebookとの大きな提携を果たしたMicrosoftがその場にいることを無視しようと懸命に努力していた。

 広告分野やソーシャルネットワーキング分野におけるGoogleの将来に関するプラス要因となる話題すべてをもってしても,MicrosoftのせいでGoogleの影が薄くなった事実を変えることはできなかった。同日早く,MicrosoftはFacebookの株式の一部を2億4000万ドルで取得すると発表した。これは,人気のソーシャルネットワーキングサイトを運営するFacebookの独占広告パートナーとなる契約を巡る熾烈な競争において,MicrosoftがGoogleに勝ったことを意味すると伝えられている。

 アナリストや記者たちからの数々の質問に対して,Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は苛立たしげに,「特に」コメントはないと繰り返した。

 Googleの共同創業者であるSergey Brin氏は同イベントの終わりに記者らに対して「今までにも,この分野に限らず他の分野でもいくつかの取引を逃してきている。・・・われわれの競争相手の中には,巨額の資金を進んで投入する企業もある・・・しかしわれわれの興味の対象は実際のところ,経済的に持続可能な契約にあるため,そのような類の取引は行わないようにしている。ただ,そういった企業の幸運を祈るばかりだ」と語った。

 また幹部らは,ブラジルでは人気があるものの米国ではそれほどでもない「Orkut」に留まっている同社のソーシャルメディア戦略についても質問された。Brin氏は「Orkutは大きな成功を収めてきている。同社はこの分野をリードするソーシャルネットワーキングの1つだ」と述べたうえで,「われわれは,インターネットの世界での成功をすべて手に入れる必要性を感じるほどの大企業ではないと思っている」と述べた。

 また同氏は,GoogleがすでにMySpaceと提携関係にあることを指摘し,「そして,われわれはそれに満足している。われわれが提携関係を結んでいるソーシャルネットワーキング企業の数は現在,およそ20に上っている」と付け加えた。

 アナリストや記者たちが注目していたもう1つの話題は,噂の「Google Phone」に関するものである。しかし,Google幹部らはそれについても語ろうとはしなかった。

 Schmidt氏は「私はAppleの役員も務めており,iPhoneを使っている」と述べ,自身の電話を記者らに掲げて見せるとともに,「Googleには,将来的な製品については語らないというポリシーがある」と述べた。

 Schmidt氏が話したかったのは,Googleが提供している企業向けのGoogle Appsについてのことであり,同社はこのサービスによってMicrosoftのデスクトップアプリケーションと競合することになる。Schmidt氏はアナリストらに対して「人々は常に,われわれを市場のリーダーと比較しようとする。しかし,われわれはそういった問題を解決しようとしているのではなく,(人々が共同でドキュメント作業を行えるようにする機能を提供することを目的とした)異なった問題を解決しようとしているのだ」と述べた。

 Schmidt氏は「私が知っている,あるいは話したことのある小規模企業経営者の大半は,自社のインフラを捨て去り,われわれの企業向け製品すべてを利用することを望むだろう」と述べるとともに,「実際,小規模企業は今やすべてを(Googleに)アウトソーシングすることが可能だ」と述べた。

 同氏は,Googleにとって,Google Appsビジネスによる売上は検索広告による売上と比べると小さいものの,売上全体に占めるその比率は高くなっていくだろうと付け加えた。

 Googleによるオンライン広告会社DoubleClickの買収が政府から認可されるかどうかについて尋ねられたSchmidt氏は,「これについては結果が出ると楽観視している。われわれは日程をコントロールできる立場にはない」と答えた。そして同氏は2007年末かそれ以降に結果がわかるはずだと付け加えた。

 また,携帯電話業界を騒然とさせた,700MHz帯の入札への参加についての質問もなされた。

 Brin氏は「基本的な問題は,米国市場において,特に携帯電話に関して,イノベーションが十分に起こっていないという点にある。新規参入が厳しく,限られた数の企業しか参加できていないなど,そういったことすべてが(イノベーションの)プロセスの進展を阻む大きな障害となっている」と答え,「しかし,必ずしもわれわれ独自のもの(ネットワーク)を構築しなければならないと述べているつもりはない」と付け加えた。

 Schmidt氏は「われわれはおそらく入札するだろう。最適な戦略が,1社以上のパートナーとの共同入札となる可能性は大いにある」と述べたうえで,「最終的な決断は期限ぎりぎりに下すことになる」と述べた。

 一方,Schmidt氏によると,Googleは,第2四半期の利益が予想よりも下回る原因であり,第3四半期にも大きな影響を及ぼしている同社の新規雇用率の高さを把握しているという。同氏は解決策が「素晴らしい才能を持っている人材を少数雇い入れる」ことにあると述べている。

 そしてGoogleは,ストックオプションが確定した従業員も含めて,従業員の在籍率の維持についても懸念を抱いておらず,Brin氏は「われわれは在籍率の高さに満足している」と述べ,「株式を公開してからおよそ3年が過ぎた。持っているストックオプションが確定する従業員が出始めている」と続けた。同氏はまた,Googleでは従業員が満足して働けるようにインセンティブを考案していると述べる。

 Schmidt氏は,Googleは「ある程度の人員の移動がある」と述べ,「妥当な人数におよぶ」と語った。

 そのほか,Googleでインターネットエバンジェリストを務めるVint Cerf氏が同日,惑星間バックボーンの計画について講演し,同社はiGoogle,Google Maps,Gmailについてデモを行った。

 Schmidt氏は,広告は同社にとっていまだ主要な利益源であり,オンライン広告はその計画の一部分に過ぎないと述べる。「われわれはいま,広告市場にいるものとして,自分自身を定義している」(Schmidt氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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