Appleが初めて発売する携帯電話「iPhone」について,米国時間6月26日午後,Wall Street JournalとNew York Timesがレビューを掲載した。おおむね好意的な評価だが,両紙ともにiPhoneの弱点をいくつか指摘している。

 Wall Street JournalではWalt Mossberg氏が,New York TimesではDavid Pogue氏が,それぞれiPhoneのレビュー記事を書いており,そろって26日午後に掲載された。Mossberg氏が書いた記事の見出しは当初「iPhoneは画期的なハンドヘルドコンピュータだ」というものだったが,後に「iPhoneを検証する」に変更された。一方のPogue氏は,「派手な前評判の大半を満たすiPhone」と,やや微妙な含みを持たせた見出しをつけている。両氏ともにiPhoneの試用期間は2週間で,Mossberg氏は複数の都市で利用したことを明らかにしている。

 この業界でナットグラフ(nut graph)と呼ばれている,リード文に続いて記事のテーマを簡潔に示す部分を見ると,Mossberg氏は「欠点と抜け落ちた機能がいくつかあるが,全体的に見て,iPhoneは美しく画期的なハンドヘルドコンピュータだというのが,われわれの結論だ」と書いている。Pogue氏はというと「派手な前評判の大部分と,批判の一部は正しかったことが判明した。iPhoneは革命的でもあり,欠点もある」という評価だ。

 iPhoneのユーザーインターフェースは高く評価されている。両氏とも,指で画面をスクロールするインターフェースの使い心地は非常に素晴らしいと述べ,大きなタッチスクリーンに傷や汚れが付くのでは,という懸念についても,おおむね問題ないと退けている。またブラウザの「Safari」も,両レビュアーから高い評価を受けたポイントだ。

 タッチスクリーン式のキーボードについて,Mossberg氏はしばらく試して新しい入力方法に慣れた後で,問題ないとの判断を下している。一方のPogue氏は,このキーボードの導入が「当たり」と言えるのか,少々疑わしいと感じている。同氏は記事の中で「画面上の薄っぺらで小さい仮想キーで入力するのはもどかしい。特に最初はそうだ。『BlackBerry』が近い将来に姿を消すことはないだろう」と書いている。Mossberg氏は,テキストをカット,コピー,ペーストする手段がないことについて,少し意外だったとしている。

 最大の問題点は,大方が予測していたものの1つ,Appleが初代iPhoneに選択したEDGEネットワークだ。Wi-Fi接続ポイントが使えない場合,インターネットの閲覧は苦痛だとPogue氏は言う。「New York Timesのホームページが表示されるまで55秒かかる。Amazon.comは100秒,Yahooは2分だ。これならダイヤルアップ式のモデムのほうがいいと思いそうになる」とPogue氏は書いている。

 Mossberg氏は,ZDnet.comのMary Jo Foley氏が26日に報告していたことを肯定し,iPhoneは企業向けメールシステムなどに使われている「Microsoft Exchange」サーバにも直接つながると伝えた。ただし,Mossberg氏は第1世代のiPhoneをEDGEよりも高速な携帯電話ネットワークにアップグレードする方法はないことにも触れている。ゆえに,添付書類がある場合,電子メールがiPhoneに表示されるまでには相当長い時間がかかるとみられる。

 さて,CNETでも独自のレビューを掲載するつもりなので,そちらもお楽しみに。

追加情報:その後,NewsweekのSteven Levy氏とUSA TodayのEdward Baig氏も,iPhoneの2週間試用レビューを掲載した。両氏ともに,おおむねMossberg氏やPogue氏と同じような印象を抱いている。iPhoneは確かにすばらしいが,完璧ではない,という意見だ。

 Levy氏のレビューは,この4本のレビューの中で一番熱のこもったものかもしれない。「極上の工学技術と,巧妙な設計と,創造性に富んだ実装で,今まで誰も解決することのなかった課題に取り組んでいる。それは,携帯電話,インターネット用機器,メディアプレーヤーについて,それぞれの持ち味を生かしつつ,1つのパッケージに統合するという課題だ。各機能は嫌な感じがなく,むしろユーザーを歓迎しているような雰囲気がある」と述べている。タッチスクリーン式キーボードについても,Baig氏は4人のレビュアーのなかでも比較的簡単に適応できたようだ。ただし同氏は,FlashやWindows Media Videoには未対応な点をあげ,USA Todayなどのサイトで動画を視聴するのは困難だとしている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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