2006年度のIT総合メーカー4社の国内売上は2.0%減と、市場の伸び2.2%増を大きく下回ってしまった。独立SIerの追い上げ激しいサービス分野ではなく、ハード事業が問題だ。営業利益率5%に向け、今こそ再編を考えよ。
富士通、日立製作所、NEC、日本IBMなど「国内IT総合メーカー」4社の2006年度業績がまとまった。それによると、4社の連結総売上高は21兆 2431億円で前年度から3.7%増えた。うち4社合計の通信を除く「IT売上高」は9兆2397億円で総売上の43.5%を占めた。しかし、伸び率は 1.1%増にとどまり、ITは依然として回復基調に乗り切れていない。4社の今年度の総売上は2.8%増が見込まれるものの、ITは0.9%増と横ばいの見通しだ。
これらIT大手4社の国内市場および海外市場での売り上げを見てみる。国内IT売上高は2.0%減って6兆7478億円。4社ともに前年度実績を割り込んだ。NECが4.2%減の1兆7717億円、日本IBMは4.0%減の1兆1709億円だった。日立は0.4%減の1兆4826億円、富士通は0.2%減の2兆3226億円となった。今年度は4社合計でかろうじて0.8%増の6兆8015億円が見込まれている。NECが2.3%増、富士通が1.7%増の見通しだ。
一方、日本IBMを除く、富士通、日立、NEC3社の海外売上は11.6%増えて2兆4204億円となった。国内向けとは打って変わって好調だった。
IT事業の海外比率は、日立が37.0%(05年度33.1%)、富士通が36.5%(同32.4%)、NECは10.8%(同14.7%)となった。自動車産業の海外比率が60~70%台、家電や電機が同50%台であるのに対し、ITは海外展開が依然として課題となっている。これら国産メーカーに対し、米IBMの海外比率は60.7%(同61.6%)、米HP(ヒューレット・パッカード)は64.2%(同64.8%)と、日本の自動車産業並みを誇っている。
サービス市場の4社寡占が進む
事業をセグメント別に見ると、ハード事業の海外比率は日立67.9%(同59.1%)、富士通54.7%(同41.3%)と高い。逆にNECは05年度の21.1%から15.5%へ海外比率が後退した。07年度はさらに11.0%へと落ち込む見込みである。サービス事業で富士通の海外比率30.6%(同 30.9%)が光る。日立とNECのサービス売上海外比率は1けた台にとどまっている。
前述したように、大手メーカー4社は国内市場で足踏み状態が続いている。そのため国内IT市場に占めるシェアも下降し、独立系がシェアを伸ばしている。IDCJapan調べの06年の国内IT市場の規模は12兆9300億円で2.2%伸びた。これはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)込みの市場である。このIT市場に対し4社は、05年が6兆8837億円で54.4%のシェアを占めたが、06年は52.2%と2.2ポイント減少している。
本記事は日経ソリューションビジネス2007年6月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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