こうしろうは大型連休のはざまの平日に突然,大学から帰ってきた。5月1日の朝早くに大阪を出て,普通電車で7時間もかけて帰省した。

 帰ってきても,高校時代の友人との情報交換に忙しく,なかなか家にいる時間は少ない。何かをまとめて学べる時間を作ることは難しいが,15.4インチ液晶のテレビを兼ねている重たいノートPCを持って帰ってきていたので,「とりあえず,Visual Studioでデータベース・プログラミングを勉強できる環境を作ろう」と声をかけた。

 NECのモバイルPCが不調なので,大きい方を持ってきたというが,荷物の重量のほとんどを占めているようだった。

 5月4日,Visual Studio 2005でSQL Server2005を使ったデータベース・プログラミングができる環境を作ることを目標に,こうしろうとノートPCを並べた。15.4インチ液晶のノートPCと12.1インチワイド液晶の私のノートPCはまるで,お馬の親子のようにサイズが違う。

 Microsoft Japanのサイトからは,Microsoft SQL Server 2005 SP2がダウンロードできるようになっている。今回は,SQL Server 2005の管理ツールであるSQL Server 2005 Management Studio Express(SSMSE)が同梱されているSQL Server Express Edition with Advanced Services SP2をダウンロードして,インストールすることにした。

 SSMSEなどのクライアント・ツールをインストールするために,クライアント・コンポーネントをすべてローカル・ハードディスクにインストールするという設定でインストールした。認証モードはWindows認証モードのままで進める。

 SQL Server 2005 Express EditionとSQL Server 2005 Management Studio Express,その他のクライアント・コンポーネントがインストールされた。勝手にSQL Server 2005 Express Editionが自動起動するように設定される。
 
 しかし,このままではVisual Studioから利用することはできなかった。

 15.4インチのノートPCにはVistaが入っている。こうしろうは大学に進学する直前に,入学祝いやら,餞別やらで,収支がワヤワヤのときに素早くメモリーを増設し,OSをVistaにアップグレードしたのだ。数万円なら好きに買っちゃえばという季節は,我が家では長続きはしない。
 
 Vistaで使うには,この他にも設定が必要だった。メニューから,SQL Serverセキュリティ構成を選択する。

 ここで新しい管理者の追加のリンクをクリックし,WindowsユーザーをSQL Server管理者に追加する。

 左側のペインのユーザーを右側に移動し,OKをクリックする。 次に,前の画面に戻り,サービスと接続のセキュリティ構成をクリックする。

 そして,SQL Server Browserを開始ボタンでスタートさせる。これで,Visual Studio 2005からSQL Serverが見えるようになった。

 サーバー・エクスプローラのデータ接続を右クリックし,接続の追加を選ぶ。最新の情報に更新(R)ボタンをクリックして,選択肢に現れたサーバーを選んだら,接続の確認(T)ボタンをクリックする。テスト接続に成功しましたとメッセージボックスが表示される。

 メッセージボックスを閉じて,作成するデータベース名を入力してOKをクリックすると,接続が追加される。

 +(プラス)ボタンをクリックしてデータベースを開き,テーブルの上で右クリックして,新しいテーブルの追加(T)を選べば,テーブルを作成できる。

 ここで対話的にテーブルを作成するのが面倒ならば,テキスト・ファイルにSQL文を記述しておき,SSMSEでテキスト・ファイルを開き,SQL文を実行して,テーブルを作成することができる。この手順は簡単だ。

 次のようなSQL文の固まりをテキスト・エディタで作成する。大雑把に説明すると,先ほど作成したSampDBをuseで選択し,SETで初期設定を行う。

 CREATE TABLE文でテーブルを作成する。MemberNoがPRIMARY KEY(主キー)だ。データ型を示すnchar,nvarcharのnはUNICODEで記録することを示している。

 INSERT文で2件レコードを追加して,終わりだ。

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 use SampDB
 SET ANSI_NULLS ON
 SET QUOTED_IDENTIFIER ON
 CREATE TABLE [dbo].[Members](
  [MemberNo] [nchar](5) NOT NULL PRIMARY KEY,
  [Name] [nvarchar](10) NOT NULL,
  [Telephone] [nchar](13) NOT NULL,
  [Address] [nvarchar](50) NOT NULL,
 )
 INSERT INTO [dbo].[Members]
 VALUES('12345','飯野へいた','0901111*****','東京都')
 INSERT INTO [dbo].[Members]
 VALUES('12346','阿倍礼一','0901112*****','大阪府')
―――――――――――――――――――――――

 SSMSEを起動して,ファイメニューから開く(O)で,このファイルを開き,F5キーを押すとSQL文が実行される。

1行処理されましたというメッセージはレコードが無事追加されたことを示している。

 Visual Studioからも,作成したテーブルが見える。
 
 これで,Visual Studioでデータベース・プログラミングを始める環境ができあがった。Visual C# 2005 Express EditionやVisual Basic 2005 Express Edition を使っていれば,これらの環境が全く無料で構築できてしまうことになる。

 Microsoftは学習者にはやさしいと思う。「OSやOfficeソフトは高いけど」という愚痴はやめておこう。