ロシア政府が,自国内で消費者による著作権侵害が多いのはMicrosoftのライセンス制度が極度に厳しくコスト高であることが原因だ,と主張してMicrosoftを酷評した。

 著作権侵害対策団体のBusiness Software Alliance(BSA)は,偽造ソフトウェアの多い国ワースト10にロシアをランクインさせている。一方,ロシアの情報通信技術省で副大臣を務めるDmitry Milovantsev氏は,2週間前にモスクワで開かれた記者会見で,ソフトウェアの著作権侵害が同国にとって「非常に深刻な問題」であることを認めた。

 同氏によると,ロシア国民の平均所得の低さも違法コピーソフトウェアが相対的に普及している一因だという。しかし同氏は,制限が厳しく高コストとなるライセンスポリシーを課す大手ソフトウェアベンダー各社の態度もあわせて非難した。

 特に同氏は,Microsoftは,Windowsがプレインストールされていないコンピュータをパートナー企業が販売することをロシア国内で許可していない点を指摘した

 「Linuxをインストールしたい場合はMicrosoftのソフトウェアを消去しなくてはならず,これによりコンピュータ1台分のコストが50ドル上昇する。Windowsが既にインストールされているため,オープンソースを使いたいときはOSのインストールが必要になる」と同氏は語っている。

 Milovantsev氏によると,捜査の重点は,偽造ソフトウェアを使って逮捕される個人の方ではなく,それを製造する犯罪者側に置くべきだという。

 同氏は,「ソフトウェアの違法利用撲滅に向けて常に取り組んでいるが,消費者側ではなく,このようなソフトウェアを開発する側と戦う必要がある」と語っている。

 ロシアが国際ITアウトソーシング市場での競争力を高め,国内への企業誘致を進めるなか,Milovantsev氏は,ロシアは産業知的財産権に関して「非常に厳しくまじめな」立場を取っている,と主張している。

 ロシアにおけるソフトウェア著作権侵害問題は,教室内にある12台のPCで違法コピー版の「Windows」と「Office」を使っていた教師が告発される事件が発生し,数週間前から注目されていた。

 この事件はVladimir Putin現大統領と元トップのMikhail Gorbachev氏の目にとまり,両氏は起訴を取り下げるよう呼びかけた。ロシアの裁判所は先週,この教師に対して罰金の支払いを求める訴えを退け,「裁判に値しない」としてこの問題を却下している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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