日経Linux2007年2月号の特集3で取り上げた「PLAYSTATION3」(以下,PS3)では,発売直後にもかかわらず,「Fedora Core」や「Yellow Dog Linux」などが安定稼働に達しつつあり,さらには「Vine Linux 4.0」などがインストール可能になっている。原理的にはカーネルがブートすれば,どのディストリビューションでも利用できるようになるはずだ。64ビット版PowerPCをサポートしていたディストリビューションは比較的,早い段階で対応してくるものと思われる。
PS3上のLinux環境は,前述の特集3で紹介したYDL5(Yellow Dog Linux v5.0 for PLAYSTATION3)に限らず,急速に整いつつある。ただし,有効な活用法となると,なかなか難しい。すぐに思い付くのはホーム・サーバーだが,筆者が試用した限りではPS3がホーム・サーバーに適するとは思えない。理由は2つある
一つは,消費電力だ。PS3はかなり消費電力が大きく,無負荷時でも100Wを超える。PCとほとんど同じレベルだ。PS3を常時稼働させるくらいならPCを常時稼働させた方が便利だろう。
また,騒音レベルでもとりたてて優れているわけではない。ほぼ12時間連続でPS3の電源を入れっぱなしにしてみたところ,10時間ほど経過した後,本体内部の温度がかなり高くなり,ファンの回転数が上昇した。騒音もそれなりにうるさく,深夜なら気になるレベルだった。連続稼働した場合のPS3の耐久性も分からないので,長時間稼働は(現時点では)お勧めできない。
PS3の性能をフルに生かせるのは,やはりSPE(Synergistic Processor Element)を利用したオリジナルのアプリケーションが登場したとき。高速な演算が可能なので,例えば信号処理,画像処理に威力を発揮するはずだ。また,レイトレーシングなど3Dレンダリングに生かされれば,PCを圧倒するパフォーマンスが期待できる。
既に世界中のパワー・プログラマがSPEプログラミングに取り組み始めている。早晩,何らかのアプリケーションが生まれるだろう。動向をチェックしつつ,PS3 Linuxに取り組むとかなり楽しめるのではないだろうか。