Microsoftは,次世代OS「Windows Vista」を大規模な組織が使用するときのヒントや注意事項などの情報を,米国家安全保障局(NSA)から受け取っていたことを明らかにした。

 Microsoftによると,NSAの情報保証局(Information Assurance Directorate:IAD)から,「Windows Vista Security Guide」を評価,検討し,数々のコメントをまとめた文書の提出を受け,ガイド公開時にその内容を盛り込んだという。米商務省の標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)からも同様の文書が提出されたと,Microsoftは話す。

 Microsoftの関係者が米国時間1月9日に電子メールで出した声明には,こう書かれている。「企業顧客だけでなく,こうした機関から得たフィードバックは,Microsoftが開発を行うにあたって,政府や他の大規模な組織がVistaを導入し,それぞれのセキュリティやプライバシー保護のニーズに合った設定をしやすくする,セキュリティ構成の指針を示してくれた」

 しかし,NSAも,その他のいかなる政府機関も,実際のVistaの開発において特別な役割を果たしたりはしていないと,MicrosoftでGovernment Security Program(GSP)担当上級プログラムマネージャーを務めるDon Armstrong氏は電話で回答している。ベータテストのプロセスに参加した他のテスター同様,Vistaについて自由にフィードバックをしてもらっただけだという。

 「彼らはVistaのコード開発には参加していない。セキュリティガイドに対する意見を伝えてくれただけだ」と,Armstrong氏は話す。ベータテストには5つの国の9つの政府系機関が参加したそうだ。

 9日付けのワシントンポスト紙に掲載された記事によると,インストールガイドについてコメントをするために,NSAは,Vistaをインストールしたシステムを攻撃するテストを実施したという。2つのチームに分かれ,一方が侵入を試み,一方がVistaを安全に保てるようコンフィギュレーションを整えた,と同紙は伝える。

 Microsoftは2006年11月,Vistaの開発作業が完了したその日に,Windows Vista Security Guideを初めて公開した。その後,最初の文書に誤りが発見されたため,訂正した新バージョンが先週新たに公開された。

 オンラインで公開されているこのガイドは,Microsoftの「Active Directory」サービスとともにVistaを使用しようと考えている組織向けのものだ。ここには,そうした設定でVistaを稼働させるデスクトップPCやノートPCのセキュリティ強化に役立つ指示や推奨事項が含まれている,とMicrosoftは説明する。

 Windows Vista Security Guideは無料でダウンロードできる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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