MindStormsの頭脳RCXは小さなコンピュータです。日立製のH8/3292という8ビットのCPUを搭載しています。最近のゲーム機が64ビットのCPUを搭載していることを考えるとかなり旧式のシステムといえるかもしれませんが,最新のCPUに比べて圧倒的に優位な点が一つあります。それは消費電力が少ないことです。RCXは単三乾電池を6本入れて使用しますが,電池はかなり長く持ちます。それから,標準では付属していませんが,9Vから12VのACアダプターを電源として使うこともできます。ゲーム機のACアダプターなどで利用可能なものがあります。

 さて,8ビットや64ビットという言葉について簡単に説明しましょう。ビットというのはコンピュータが扱う情報の最小単位です。1ビットで0か1か,つまりオフかオンの2値を扱うことができます。8ビットのCPUは一度に8ビットの情報を扱えます。64ビットのCPUになるとその8倍の情報が扱えるわけです。

 CPUは計算や判断を行いますが,プログラムや計算結果を記憶しておくための部品も必要です。それがメモリーです。次に,RCXのメモリーの構造について説明します。

 RCXのメモリーは一般的なコンピュータと同じようにROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)で構成されます。ROMは読み出し専用メモリーです。工場で専用の機械によってプログラムを記憶させます。ROMに入っているプログラムは,RCXのハードウエアを直接制御したり,RAMにファームウエア(Firmware)をロードするためのルーチンです。電池が切れてもROMの内容は消失しません。これに対しRAMは電気的に保持されているため,電池を抜くとその内容は消えてなくなってしまいます。RAMは書き込み可能なメモリーです。RAMは2つの層に分けて使われています。下位の層にはファームウエアを保存します。上位の層には,私たちが作ったプログラムを記憶します。ファームウエアは私たちが作ったプログラムをどう動かせば良いのかを知っています。