このMindStorms日記もいつの間にか160話まで回を重ねた。第1話を書き始めた1999年には,こうしろうは小学校5年生,弟かずは2年生,そして妹のほのちゃんは,まだ0才だった。最初の頃は30話か50話が目標だった。月日の経つのは早いもので2004年,順調にオヤジ化する父を尻目に,こうしろうは高校1年生,かずは中学1年生,ほのは幼稚園年長と確実に育ち,どんどん生意気になっている。
こうしろうと一緒にNATというボランティア団体でLEGO Mindstormsを市内の小学生に教えることはあっても,決して一緒に遊ぶことはない。それどころか,家にいても顔をあわせている時間はわずかである。
かずも,やっと中学生らしくなってきてクラブ活動の陸上部で忙しい毎日を過ごしている。かずのHSP (Hot Soup Processor)によるプログラミングにかける情熱は相当なものだが,部活に慣れるまでは,疲れが勝ってしまい頭を使わなくてはならないHSPには手が伸びず,何も考えなくていいゲームをパソコンでしている。
さて,MindStorms日記はこれから,どこへ向かうのだろうか?
日経ソフトウエア誌のWebスペシャルに,この日記を書き始めたきっかけは,こうしろうが小学校5年生のときに「パソコンでゲームを作ってみたい」と言い出したことだった。『ゲームで挑戦!Visual Basic・・・』という本を「難しすぎるだろうな」と内心思いつつ手渡した。案の上,苦しみながら匍匐前進のように数十ページ進み,力尽きた。
せっかく与えられたもので遊ぶことではなく,自分で何か作ってみようと思い始めたこうしろうに何かよいものはないか,わかりやすくプログラミングが学べて,楽しいおもちゃはないかとネットの中を探し,出会ったのがLEGO MINDSTORMS Robotics Invention System 英語版Version1.0であった。こうしろうとかずがレゴブロックでガチャガチャとロボットを作り,パソコンでプログラムを作り動かして遊ぶ。傍らで,ちゃちゃを入れたりアドバイスをしながら,楽しい夜をたくさん家族で過ごした。
C言語に似たNQCという言語でロボットのプログラムを作るようになってから,プログラミング,情報処理へと彼の興味はオタク化し(もとい発展していき),中学2年の時に,経済産業省の基本情報技術者試験を受け,彼の座右の銘である「節約」精神をいかんなく発揮し,ギリギリ,スレキレの点数で合格した。13歳は当時,最年少合格者タイ記録だった。2002年10月号の日経ソフトウエア誌には「育代が行くよ!2学校編」で取材を受けた様子が載った。吉田育代さんと当時編集長だった柳田さんが富山県高岡市くんだりまでやって来てくれた。家族は軽く舞い上がった。
それから,こうしろうは私が2003年7月号から1年間,日経ソフトウエア誌で連載した「C言語で始めるプログラミングの基礎」の原稿を読み,毎回わかりにくいところを数箇所指摘してくれた。サンプル・プログラムを実際に打ち込んで,手を使ってプログラミングの実習もした。中学の学校祭では学割で買ったFLASH MXでへぇーボタンを作り,トリビアの泉のまねもしていたらしい。
しかし,まとまったプログラムというか,実用的なそれこそ「へぇー」と言いたくなるプログラムを作った経験は彼にはない。HSPで自分のパソコン使用時間を記録するプログラム(155話,158話参照)を作成している弟かずに一歩リードされているかもしれない。
これなら,いつでも何か作れるというプログラム言語を一つ持っておいた方がよいだろうと本人も私も考えていた。
「C++をやろうと思ったがいけど,」とある日,富山弁で切り出してきた。C言語のあとはC++に進まなくてはいけないと考えたのだろうか。「C++だって!そんな几帳面に,ストイックな路線を歩まなくてもいいんだぜ」と内心思っていたら,「でもDelphi(デルファイ)やってみようかな。」と現実路線にすぐ車線変更した。「そう,Delphiは良いよ」と以前からDelphiに興味のあった私はすぐに賛同した。Delphiをやっている(数少ない)人達は皆「Delphiは良い」と言う。残念なことに,私はこれまでDelphiには縁がなかった。
また,DelphiはC言語の連載で使っているBorland C++コンパイラと同様にボーランド社のWebからDelphi 6 Personal版をダウンロードして無料で使うことができる。Delphiの最新バージョンは .NET対応版のDelphi 8であり,従来のWindows用の最新バージョンはDelphi 7だ。それらに比べるとDelphi 6はちょっと古くて,Personal版にはデータベース機能がなく,商用のアプリケーションを開発してはならないという制限がある。「大丈夫かな,単に勉強しましただけで,実用的なプログラムは作れないかな」と不安を抱えたまま,少しだけ使ってみた。
やはり良かった。Delphiには筋の通った便利さがある。
そんなわけで,今度はこうしろうと共学関係を作ることにした。一緒にDelphiを勉強する様子を,これから,お送りしていこうと思うのだが,なにせ地味なんだ,これが。
2人でDelphiの解説が載っているホームページや,日経ソフトウエア誌に数年前,凛太郎さんが連載されていた記事を読みながら,サンプル・プログラムをそれぞれのノートPCに打ち込み「できたか?」「まだ,エラーがでた」「うーんこれはC言語でいうと,構造体だな」などとボソボソと会話をしながら,勉強している。
こんな様子をどうすれば,楽しく紹介できるか,またDelphiの概要をWebでうまくお伝えできるか,自信はありませんが,たまにはかずのHSP話も交えながら,書いていきたいと思っています。少しだけご期待ください。
第160話 さて,お次は何をしましょうか
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