5月22日(土)仕事をしていたら,どうしても物撮りセットが作りたくなった。物撮りセットとはネットオークションに出品する小物などをキレイにとるための撮影用セットのことである。もちろん,私の目的はオークションではなく,この日記にキレイな画像を載せることだ。たとえばコクヨから,次のような製品(http://www.kokuyo.co.jp/toritai/)が発売されている。以前から,これを自作したいと思っていた。

 夕刻,仕事を早々に切り上げ,DIYの店に向かった。ヒノキ材の細い棒を数本,ベニヤを1枚,ケント紙やトレーシングペーパー,上質紙などを買い込み,「明日は日曜大工だ!」と帰宅した。

 おもちゃを買ってもらった子供のようなもので翌日を待てず,夕食後,トントンと木枠を作りはじめた。その音につられて出てきたこうしろうが「何,作っとんが?」と聞く。高校生になってからは,アナグマのようで,食い物を求める時にしか部屋を出てこない。「ものとりセット」と答えると「どろぼうかい?」とおちょくる。「いや,違った。ぶつどりセット」と言い直す。

 翌朝,同じように「何,作っとんが?」と聞いてきたかずは,渋々ながら手伝ってくれた。ここが高校生1年生と中学1年生の違いである。

 完成した物撮りセットを紹介する前に,物撮りセットを使っていない画像と物撮りセットを使った画像を見比べてほしい。

物撮りセットを使わずに灰色の紙の上に載せて撮影

物撮りセットを使って撮影


 どちらの写真もフラッシュを発光禁止にして撮影したが,物撮りセットを使わず撮ったふくろうは全体的に暗く,影が濃い。物撮りセットを使った方は明暗の差が少なく,色がちゃんと再現されている。

 これが完成形だ。上に載せてあるのが,わざとクシャクシャにしたトレーシングペーパー。クシャクシャにすることで上からの光を分散させることができる。ふくろうが載っている台紙は,ケント紙にケント紙よりは薄い灰色の色紙を両面テープで貼り合わせたもの(白色のケント紙しか売っていなかったので,こういうことになった)。トレーシングペーパーと台紙を取りはずすと,枠組みがわかる。

 木枠に紙を貼り合わせてある。横に貼った白い紙は模造紙よりは少し薄い紙で,レフ板の役目を担う。適当にスキ間が空いているのは,色々な向きの光を取り込めるように設計したわけではなく,適当に紙を切ったら,こうなっただけである。

 トレーシングペーパーには,持ち手としてあまった木っ端を貼り付けた。単なるゴミと間違えて捨てられてしまわないようにという願いが込められている。

 ベニヤにアルミホイルを梱包用のテープで貼って,外側から光をあてるレフ板も作成した。


 かずの部屋からレゴテクニックのヘリコプターやプルバック式のレーシングカーを持ってきて撮影した。複雑な形状のものも影が少ないのでわかりやすく撮ることができる。

 総制作費約2千円,総制作時間3時間のプロジェクトは,ほぼ成功に終わった。この物撮りセットを作る前までは光をどんどんあてて,影をなくすことがキレイに撮るためのコツだと思っていた。しかし,作ってみてわかったことは,強い光でなくてもいいから,光が全体に行き渡るようにして影をなくせば,人間の目には多少暗く感じられても,カメラの力でキレイに撮れるということだった。

 「プロい」という日本語の乱れを象徴するようなかずのほめ言葉や「これ,すごいわ」というなぜか高校では写真部に入部したこうしろうの感嘆の言葉にエッヘン気分でいたのもつかの間,妻の「これ,どこにしもとくが」(富山弁解説:どこにしもとくが=どこにしまっておくの)の一言で現実に戻されてしまった。「組み立て式か,折りたたみ式にすべきだった」と後悔したが,とりあえず「エヘへ」と笑ってごまかした。

 そのうち,蝶番を付けて平べったく,たためるように改造しよう。