タバコ,タバコ,タバコ,タバコを止めると♪♪(おさかな天国の節で)
おなか,おなか,おなか,おなかが出てくる♪♪

 うーん,最低の書き出しである。煙草を止めるとやはり腹がでるのか,最近おなかがつまめる。つまめるというよりも握れると言ったほうが適切な厚みになってきた。

 1個あたりのニコチン量が2mgといつも吸っていた煙草よりもきついニコチンガムに頼っての潔くない禁煙を始めたのが昨年の12月である。学生時代から吸い出したタバコの量は20数年の間に少しずつ増え,近年は晴れの日も,雨の日も,風邪の日も,もれなく2箱吸っていた。ひどいヘビースモーカーだったのである。喉は慢性的に炎症を起こし,体力の衰えも気になるようになってきた。

 自分のためにも,家族のためにも,私と同じ空気を吸う周囲の人のためにも「このままじゃ,いかん」と禁煙を始めた。1時間半煙草を吸わないでいると手が震えだす私の強い味方はニコチンガムであった。ガムでニコチンを補給してやれば,煙草を吸わないでもなんとかなる。ニコチンガムの用法は,最初はそれまでの喫煙本数に応じた個数(私の場合,最高の1日十数個)を噛み,2週間ごとに少しずつ減らしていき,3ヶ月で0にするというものである。しかし,マニュアル通りに物事が運ばないのが世の常で,ガムの量は減ったり増えたりを繰り返し,とうとう使用限度期間の6ヶ月まできてしまった。もちろんニコチンガムの他に,普通のガム,飴,ス昆布,仁丹,梅仁丹と色々併用したのであるが,結局は煙草への依存がニコチンガムに引き継がれてしまったわけである。

 では,この後はどうすれば良いのか。もうニコチンガムを使うことはできず,さりとて煙草に戻ればこの半年の努力と煙草代より高価な投資は水の泡と化す。

 こうしろう一家の住んでいるところは水の良いところである。近所の農協の井戸からは,市販のミネラルウォーターに勝るとも劣らぬうまい水がコンコンと湧き出ている(意外かも知れないが『こうしろうのMindstorms日記』はそんな田舎の町からお送りしているのである。ちなみにかずの小学校にも,こうしろうの中学校にも湧き水がある)。

 「冷たい水を飲むと良いらしい」,「水をたくさん飲んで,体内のニコチン濃度を下げると早くニコチン中毒から脱却できる」という知人からのアドバイスもあり,毎日2リットル井戸水を飲むというモデルのような生活を始めた。ニコチンが欲しくなると水を飲む。今まで,煙草で眠気を紛らしていたせいで,突然強い眠気に襲われることがある。そんな時も冷たい水を飲む。この方法,うまく行っている。完全にニコチンと手を切って,もう一月になる。ただし,おなかはポチャン,ポチャンと中でおさかなを飼えそうな状態だ。

 ニコチンガムは無駄だったかと言うとそうではなく,起き掛けの一服や,食後の一服などの習慣を取り払うのには有効であったと思う。「本当は止めたいのだけど,なかなか…」と煙草を吸いつづけている皆様,煙草を止めるのに強い意志など要りません。ツールを揃えれば大丈夫です。筆者のお奨めはニコチンガムとガム(なるべく甘くないもの),仁丹(梅やグリーンでなく本当の仁丹),うまい水(近所に不幸にも無料のうまい水が出てくる井戸がない場合は,ミネラルウォーターを買いましょう),そして家族の理解も必要です。ただし,家族の理解とは「お父さん,がんばれ」というあたたかい励ましではなく,ニコチン切れでイライラして家族にあたり散らした時に,とりあえず「はい,はい」と言っておけという冷静さです(あたたかい励ましにもイライラしてしまうことがあるからです)。

 寒い時節は冷たい水をゴクゴク飲むことはできません。本当は止めたいと思っている喫煙者の皆様,夏場に向かう今こそが禁煙のチャンスです。