第16話でピッチング・マシンを作ったことによってひとつの考えが頭に浮かんだ。MindStormsをおもちゃを作るためのおもちゃとして定義づけられないかという考えである。昔、私たちが木や竹、紙でおもちゃを作ったように。いや、今の子供も自分でおもちゃを作っている。素材がカップ麺のどんぶりやペットボトルに変わっただけだ。かずはいつもなにか変なものを作っては、妻に「片付けるか、捨てるかしなさい」と叱られている。

 『デジタル・キッズはモーターやセンサーそしてプログラムを駆使しておもちゃを自作する。』この考えをこうしろうに話すと無言で目を皿のように大きく広げた。これが、興味が湧いたときのサインである。かずは「それ、いいね」と答えた。かずは平和主義者なので何にでも同調する。しかし、実際何かを始めると、必ずひとりだけ違うことをしている。かずはそんなやつだ。

 というわけで今回のMindStorms日記は『サメさん、ワニさん射的ゲーム!』パフパフ、ドンドンドンだ。

4月29日(土) 『サメさん、ワニさん射的ゲーム!』を作成した。今回は完成した写真からご覧いただきたい。



 かなり巨大な「おもちゃ」である。木を植えたり、サメを泳がしたりするとそれらしくなった。

 大砲の発射部はこうしろうが作成した。



レゴの海賊シリーズだか、盗賊シリーズだかの大砲の引き手をモーターで引っ張る仕組みである。引き手をビームの穴に引っ掛けビームの上に付けたラックをモーターで動かす。モーターを回転させると、大砲の引き手が徐々に引っ張られていき、耐え切れなくなるとビームの穴から引き手がはずれ、大砲の弾(といってもレゴの円筒形のブロック)が発射され、ヒューンと飛んでいく。

 私はサメとワニを上下動させる装置を作成した。



モーターの回転運動をカムにより縦方向に変換することで、サメとワニを上下動させている。かずは不平を言いながらゲームの台を作った。でも完成後に、このゲームを一番楽しんだのは、かずである。

5月3日(水) ゴールデンウィークということで家族で『ダ・ビンチ・テクノミュージアム』へ行った。(と言っても我が家から車で30分の距離なのでいつでも行ける。)



数年前に訪れた時は、「ふーん」という感じでさらっと見て回っただけなのだが今回は違った。「マインドストームと同じものがある。」とこうしろうとかずは興味深げに展示物を見ていた。MindStormsの仕組みの多くがここにあった。「ずっーと、昔の人がこんなこと考えとったがや」とかずは感慨深げだった。



サメさんとワニさんを上下動させているカム機構もダ・ビンチが考えたものだったのだ。



 ダ・ビンチが考えた車である。ギヤで回転方向を変えている。LEGO社がMindStormsの母で、MIT(マサチューセッツ工科大学)がMindStormsの父だとすると、その先祖はレオナルド・ダ・ビンチだろう。