第13話にクレームがついた。こうしろうの母からである。(あれ、ということは私の妻か。)「私は『失敗は成功の母やちゃ』なんて言っていない」というクレームである。「失敗は成功のもと」と言ったのだと妻は主張する。「どうでも、いいやないけ。『母』でも『もと』でも一緒やねけ」と私は言い張ったのだが、彼女は譲らなかった。これが『もと』で家族がバラバラになっては困るので、訂正させてもらいます。

第13話 正誤表
(誤) 『失敗は成功の母やちゃ』とこうしろうの母。
      ↓
(正) 『失敗は成功のもとやちゃ』とこうしろうの母。

 さて、いつも家族そろってマインドストームを楽しんでいる我が家であるが、今回はちょっと趣向が違う『それぞれのマインドストーム日記』をお送りしたい。

3月6日 帰宅した私に「こないだのがと、仕組み変えてピッチング・マシン作ったよ」とこうしろう。(*富山弁解説「こないだのがと」:「前回のものと」という意味である。活字にすると富山県人である私でも変な感じがしてしまう。)



 黄色いアームにボールを載せて、クルッと回してボールを投げる仕組みである。ただし、ボールを載せるのがえらく難しいのと、ボールが下30度の角度で発射されるという欠点がある。こうしろうによるとまだ試作段階なのだそうだ。

3月11日 いつものマインドストーム・タイムにこうしろうと私は外出していた。こうしろうが所属している少年野球チーム「サザンクロス」の新チームの結団式に出席していたのだ。6年生の卒業を間じかに控え、5年生以下による新チームが結成されたわけである。こうしろうはめでたく背番号5をもらった。3月とはいえ、まだ冬の名残の残雪がチラホラしている中をこうしろうと二人で自転車で帰宅すると、かずが一人で一生懸命マインドストームをやっていた。彼はボール発射装置にベルトコンベアでボールを運ぶ仕組みを作っていた。



 しかし、アームの回転とベルトコンベアのボール送りをシンクロナイズさせるのは至難の業だ。アームにタッチセンサーでも付けるしかないか…。でも、アームが回転するとコードが絡んじゃうな。(みんなに結果を出させてやりたい父は悩んでしまう)

 さて、次の写真をみて欲しい。長女ほのちゃん(1歳3カ月)とロボットである。



 ロボットが自分から遠ざかっていくと、ほのちゃんはハイハイで追いかける。ロボットが自分に迫って来るとほのちゃんは逃げ惑う。

 こうしろうにとってマインドストームはプログラミングなんてちょっと難しいことを勉強する知的な玩具であり、次男かずにとっては、モーターやギヤが付いている動くレゴ・ブロックである。プログラムを理解しようという気持ちはないようだ。「だって、漢字でさえわからんがに、英語やとかわかるわけないちゃ」というのが、かずの弁である。ほのちゃんにとってマインドストームは、バラバラのうちは『やりたい放題』系のおもちゃであるが、ロボットとして組み立てられ、プログラムという命を吹き込まれてしまうと「ちょっと怖い電子ペット」のような存在になる。

 私にとってマインドストームは…そう、小学校の運動会みたいなものである。子供の成長ぶりを喜んだり、ふがいなさに腹を立てたり、子供のみせる意外な一面にはっとしたり、「へぇー」と感心したり、とにかくどちらも終わったあとのビールはうまい。