9月19日 午前6時起床。この日は私にとって長い一日となった。こうしろうの所属している少年野球のチームの配車当番にあたっているため、7時には学校へ行かなくてはならないのだ。配車当番とは、少年野球の選手たちを試合会場に送迎するための当番である。会場につくと子供たちは練習をはじめた。私は球拾いをしたり、コンピュータ雑誌を読んだりして、試合開始の時刻をまっていた。
9時試合開始。こうしろうのチームは2試合とも勝利し、ベスト8に勝ち進んだ。残念ながら、こうしろうのポジションは3塁コーチャーズ・ボックスである。3塁こうちゃんというダジャレではない(はずだ)。
午後2時30分帰宅。遅めの昼食をとって一休みする。4時から姪にロータス1-2-3を教えにいく予定である。不覚にも少しまどろんでしまい30分ほど遅刻した。姪は今年、高校一年生になった。学校でDOS版の1-2-3の試験があると聞いたので、講師をかってでた。しかし考えてみるとDOS版の1-2-3を使わなくなってからもう10年近くになる。何故、高校でDOS版の1-2-3を教えるのだろうか。単に新しいPCが少ないからか。あるいは、Windowsの便利さを実感させるため、一度面倒なDOS版のソフトウェアを使わせようという作戦なのか。
「どこらへんが、自信ないの?」と聞いてみると「関数とか…」という答えが返ってきた。「よし、おじさん算数は自信ないけど、関数ならまかせとき」と高校生になって、めっきりおとなぽっくなった姪に胸をはった。「@SUMは合計をとり、@AVGは平均で、@IF(condition,truepart,falsepart)は条件によって返す値を設定するんだ」。ここまで説明して、「へぇー」と感心した。「DOS版の1-2-3の中に、SQLの集計関数も、Visual BasicのIIF関数もあるじゃないか。これはいい教材だ」。試験に出そうなところと間違いやすいところをメモして、「試験前にこれチェックしてね。」と言い残し、足早に姪の家を去った。
実は今晩は“焼肉”なのである。クローン牛について報道されるようになってから、肉はスーパーではなく肉屋で購入するようになった。それ以来、我が家の焼肉は格段の進歩を遂げた。まず、野菜を山ほど焼いて強制的に配給する。次にロース、カルビと主役級の出番となる。一息ついたところで、最近の人気メニュー、ホルモン焼きに移る。ホルモンはキャベツを添えて塩で焼く。ホルモンの塩焼を教えてくれたのは肉屋の店主である。はじめてホルモンを購入したとき、「ホルモンちゃ、タレで焼きゃいいけ?」と尋ねると「なーん。塩で焼かれ。んまいよ」と教えてくれた。(富山弁解説 “なーん”は軽い否定を表す。フランス語の“ノン”が間延びして意味が弱くなったと考えていただけばよい)。“んまい”は“うまい”の最上級である。近所に『んまい屋』というもんじゃ焼きの店がある。本当に“んまい”。
おっと、マインドストームの話がまだ出てこない。この連載は「こうしろうのMindStorms日記」であった。このままでは筆者の「或る日の日記」になってしまう。しかし、しかしである。最後に“そば焼き”を食べないと焼肉フルコースは終了しない。“そば焼き”は焼きそばとは違う。焼きそばをチープにして、おつまみとして仕上げたような作品である。まず、めんを焼き、しばらくしてからキャベツを加え、塩、コショウ、ウスターソースで味付けをし、カラカラになるまで焼いて完成となる。塩、コショウを利かせるとGoodだ。この料理を知ったのは学生時代に入った小さな汚い飲み屋で、あまりの値段の安さにつられ注文した時である。やっと、2時間に及ばんとする夕食が終わりを告げた。
9時になると、こうしろうはうれしい顔をしてマインドストームを持ってくる。ビール1リットルを腹におさめた父は、勝手にやってくれモードで寝転んでいる。しばらくすると、こうしろうが「デザイング ザ ロボット」、「プログラミング ザ ロボット」と流暢な英語をモニターに向かってしゃべり始めた。「お前、今英語しゃべっとらんだか?」間抜けな質問をする。「そりゃ、何回も聞いとりゃ、わかっちゃ」とこうしろう。日本語版が出ていなくて良かったと思った。
先日、小学生にも試験的に早期英語教育をするというニュースを妻とテレビで見ていた。「一部の子供しか受けられないなんて不公平だわ」と妻は言った。男に比べて女は“不公平”というセリフが多いのではないかと思う。男は「どうせ世の中なんて不公平さ」とさめている。妻よ。君が「また、片付けるの面倒なものを買ったのね」とこぼしていたマインドストームは英語の教材にもなるんだよ。
さて、トレーニングセンターでこうしろうが本日学習した内容はタッチセンサーの使い方である。タッチセンサーはブロックの先に押すと引っ込む突起物がついており、その小さな突起物の状態で何かにぶつかっているか、離れているかを感知する。
RCXの入力ポートにケーブルで接続する。タッチセンサーの状態にしたがってロボットの動きを変えるプログラムをこうしろうが、トレーニングセンターの講師に言われるままに作成していく。まだ、自分でプログラムを作成しているという実感はないようだ。
タッチセンサーのトレーニングで作成したプログラム
このプログラムでは、まずOn ABCで出力ポートをオンにし、モーターを回転させる。Set ABC Power 1で、モーターの速度を最低速にする。Powerは1~8の範囲で設定できる。ロバート君のようにモーターを2個接続して、ひとつひとつがタイヤを回すロボットの場合は、Power 3程度で結構速い。
Touch Sensor Watcherはプログラムブロックの右側に接続する。1,2,3とラジオボタンがあり、入力ポートに対応している。タッチセンサーをつないだポートにチェックをつける。Press(プレス側)、Release(リリース側)それぞれにコマンドブロックなどをぶら下げていくことができる。上記の例ではPress側にモーターを逆回転させるReverse
Directionブロックをつないでいる。
ロバート君にプログラムをダウンロードして、こうしろうがRunスイッチを押すと、前進して私に近づいてくる。タッチセンサーを指で押すとReverse Directionが効き、後退していくがロバート君は大八車のような構造だから、タッチセンサーを押したときの指の向きで、あらぬ方向へ行ったりする。
第3話 なぜかDOSの1-2-3の話題を
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