「こんどの誕生日にマインドストームこうてやろうか?」(富山弁解説 こうてやろうか=買ってやろうか)。「うーん」とこうしろうは考えこんでいる。やっぱりゲームソフトが欲しいのか? 「まあ、インターネットで見てみられ…」。マインドストームは3万円以上する。決してこんな高価なものを毎年、買ってやっているわけではないことをご理解いただきたい。

 9月15日の誕生日の数日前、こうしろうは「僕、やっぱマインドストームにする」と言ってきた。レゴ好きの人のホームページに魅了されたようである。残念ながら、誕生日には間に合わなかった。日本語版がでないかと待っていたせいもあるが、「やっぱり、ゲームソフトがほしい」と言い出さないか不安でもあった。

 9月16日、SEShop.comで「レゴマインドストーム付き書籍」を注文する。オンラインショッピングは、やはり便利だ。私の住んでいるところでは、商店街を一日中探し回ったとしても、「レゴマインドストーム」は見つかるまい。

 9月17日、マインドストームが届く。こうしろうは箱を開けずに、私が帰ってくるのを待っていた。子供たちは「はやくマインドストームに触ってみたい」という気持ちを抑え、宿題を片付け風呂に入り、ランドセルに教科書を押し込む。さすがに今日は仕事が早い。

 午後9時,いよいよマインドストームの箱を開く。こうしろうは、目をさらのようにして、部品とぺらぺらの日本語マニュアル、そして書籍『MINDSTORMSパーフェクトガイド』を眺めている。無言である。人間は本当に興奮しているときには、言葉を失うようだ。

 「さあ、ソフトのインストールすっか」父親、得意満面である。コントロールセンターから、「Getting Started」を選びSetup1、Setup2と実行していく。こうしろうと私の共同作業である。かずは…レゴブロックで遊んでいる。ほのちゃんはそれを狙っている。Setup2で問題が発生した。「RCXとIRタワーの通信がうまくいかない」。PC(パソコン)側の問題かと思い、コントロールパネル-システム-デバイスマネジャで、シリアルポートの設定を確認する。「問題ない」。PCを再起動する。「わからんとっきゃ、再起動」それがWindowsユーザーの習性である。でも、やっぱりだめだ。

 こうしろうがIRタワーとRCXをちょっと、近づけた。それですべては解決した。私は英語のマニュアルに書かれている「4inch~6inch」の距離に両者を置いた。こうしろうは日本語マニュアルを読んでいた。そこには「10cm」と記されていたのである。トラブルの原因はいつも単純なことだ。ファームウェアをRCXにダウンロードし、準備は整った。

 時計の針が、お子様のタイムリミット(10時)を指した。「また明日やろうね」という言葉を残し、こうしろうとかずはベッドにもぐりこんだ。