第13話から始まった「ピッチング・マシン作成プロジェクト」は長期化し泥沼化の様相を呈していた。(いや、なかなかうまくいかなくて、なんどもやり直しただけなんだけど…)
第13話で作成したタイヤを2つグルングルン回して、間からボールを発射する装置の欠点はパワー不足だった。数十センチしかボールが飛ばなかった。第14話で作成したピッチング・マシンにはボールを載せるのが難しいという欠点があった。第16話はこのマシンを改良するところからスタートする。
3月18日 こうしろうがボールをキチンと置けるようにピッチングマシンを改良した。
タイヤが6つ付いているがべつに走り出すわけではない。振動で本体が動いてしまうのを止めるためにタイヤをつけてあるのだ。しかし、このマシンにも問題があった。ボールの発射角が定まらないのだ。うまく前に飛ぶこともあるが、真上に飛んだり後ろに飛んだりする
3月19日 「こうしろう、やっぱ、はじき飛ばすしかなかろう」、「そうけ」ということでピッチングマシンは2度目の仕様変更を受けることになった。
ボールの発射部が完成した。コントロールはかなり安定している。とは言ってもひどく荒れ球のピッチャーだ。ストライクが3つ続いたと思うと、くそボールが3つ続く。
3月25日 ピッチング・マシンの試運転を開始すると、RCXに電池切れのアラームが点灯した。「やべ、替えの電池がない」と私が言うと、すかさず「かず、スーファミ(スーパーファミコン)の電気の線(ACアダプタ)取って来い」とこうしろう。スーパーファミコンのACアダプタをRCXにつないでことなきを得た。マインドストームにはACアダプタが付属していないが、9V~12V出力のアダプタが使用できるのだ。しかし、『こうしろうのMindStorms日記』にはあまりにもゲーム機でばかり遊ぶ子供が多いことへのアンチテーゼという意味もあったはずだ。「なんでうちにスーファミのアダプタがあるんだ!?」理想と現実の間には、深くて長い川がある。
「こうしろう、ピッチング・マシンにボールを送り込む仕組みはどうやって作る?」と尋ねると「ウィンチで作ってみたい」とナイスな返事。タコ糸のロープを巻き上げるウィンチが完成した。
ウィンチがボールを送り込む位置まで達すると、止まるようにタッチセンサーが押される仕組みになっている。
4月1日(エイプリル・フール) 今日はプログラムを作成して、実際にピッチング・マシンの投げるボールを打ってみる予定だ。「こうしろう、スイッチ入れたらボールをはじき飛ばすモーターを回して、ウィンチは行ったり来たりするようにプログラム作ってみようか」。「はい」と言ってPCでプログラミングを開始した彼の横顔にもう迷いはない。RISのプログラミング環境にはだいぶ慣れたようだ。
Programの側から順に説明すると、「Set Direction A > C >」で2つのモーターの回転方向を順方向に設定する。ボールをはじき飛ばすモーターは「Set
Power 8」で最高速にセットし、ウィンチを巻き上げる側のモーターは「Set
Power 1」で最低速にする。「On A C」で回転開始。Touch Sensor WatcherのPress側には、ウィンチがボール送り装置を巻き上げてTouch
Sensorに触れたらどうするかというコードを配している。「Off C」でいったんモーターを止め、再度「On
C」。「Reverse Direction C」で回転方向を逆にし「Wait 40」でそのまま4秒回転する。
でも、考えてみるとタコ糸のロープを巻き上げるウィンチなのでどっち向きに回転しても、そのうちウィンチはボール送り装置を持ち上げる。「Wait
40」は意味ないじゃん!(かもしれない。)
さて、このピッチング・マシンの投げる球をおもちゃのバットで打ってみた。かずは「ファール」、こうしろうは「クリーンヒット」(実際の少年野球でもこんなヒットを見てみたい)。
こうして、ピッチング・マシン作成プロジェクトはなんとか成功を遂げたが、あまりにも稼働時の振動がひどい。大きいタイヤ2つで揺れを抑えようとしたがとても間に合わず、ビニールのひもで台にくくりつけるという荒業を使ってしまった。
第16話 「ピッチング・マシン」は
ビックプロジェクトになった!?
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