11月20日 「なに作ろう?」と聞く私に、「車でないもの作ろう」とこうしろう、「なんにすっが?」とオウム返しなかず。三人で意見を出しあう。「回転ずし」、「ベルトコンベア」、「エスカレータ」、「ムービィングウォーク」。三人寄れば文殊の知恵であるが、事故になる可能性もある。もちろん原発事故ではないが、こうしろうとかずは3才違いである。3才ぐらいの差だとライバル意識が強くどちらかの意見を採用すると、もう一方がふくれ面になったりする。

 結局、ベルトコンベアを作ることになった。今回は似たり寄ったりのアイデアだったので丸く収まった。MindStormsにはゴム製のキャタピラが2本付いているので、ブルドーザーやベルトコンベアが作れる。さすがに「回転ずし」は無理だった。書籍『MindStormsパーフェクトガイド』を参考に三人で工夫しながら、ベルトコンベアを作成した。ベルトを動かす仕組みにはウォームギアを使用した。

 
(モーターに垂直につながっている“ねじねじ”がウォームギヤ)

 RCXとモーターを繋ぐケーブルを、またしても反対につないでしまいベルトコンベアは上に昇らず、下に向かって動き出した。まるで2階から引越しのために荷物を降ろすような様子に、こうしろうが「勉強しまっせ。引越しの○カイ♪♪♪」と歌いだし家族は笑いに包まれた。親子の会話が減ったとお嘆きの方にも『MindStorms』はお奨めだ。

11月27日 建築中の家を作成し、ベルトコンベアを繋げる。2階にベルトコンベアで資材を運ぶという設定である。さて、ここで登場するのが「レゴのおじちゃん」である。レゴの人形のことであるが、こうしろうとかずは「レゴのおじちゃん」と呼んでいる。このレゴのおじちゃんに小道具を持たせ、キャラクターを設定して配置すると現場は一気に盛り上がる。こうしろうが建築現場に配置したおじちゃんはトランシーバーを持った現場監督、かずはリヤカーを押してベルトコンベアの下まで荷物を運ぶおじちゃんを作成した。私が作ったのは、マスクをかぶって斧を持ったジェイソンである。「なんでやねん」とこうしろうが関西弁で突っ込んだりする。



12月4日 ベルトコンベアのプログラムを作成する。「2階まで荷物を運んで、2階に着いたら停止し、おじちゃんが次の荷物をリヤカーで運んで来るの待ってまた動き出す。こんな動きを繰り返すプログラムを作ってみよう」とこうしろうにもちかけた。「うんうん」、「わかるか?」、「わからん」今日はやけにストレートである。

 「RCX CODEを作成する画面にして、Stack Controllers(スタックコントローラ)開いてごらん。」こうしろうがマウスをクリックする。「そこに、Repeat(リピート)ってあるやろ、うんそれそれ。」英単語がわかるようなわからないような、こうしろうに説明するために、私の指はポインティング・デバイスと化す。

 「Repeatはね、End Repeatとペアで使ってその間にはさんだコマンドを繰り返すんだ。普通のRepeatは回数を指定して、その回数分繰り返すんだ。もうひとつのRepeatはRepeat forever(リピート・フォーエバー)といって、ずーと繰り返すの。今日はRepeat foreverを使ってみよう。」あれ、富山弁じゃない!?真面目に話をする時は標準語になったりする。



 無限ループが出来上がった。『無限ループ』と聞いてドキッとしたあなたは、きっとプログラマだ。MindStormsの場合、無限ループはちっとも怖くない。RCXの小さなスイッチを押せばジ・エンドだ。

 「beep 1」は運転開始の合図である。「ON A for 150」は15秒間モーターを回す。なぜ15秒間かというとベルトコンベアに載せた荷物が2階に着くまで15秒かかるからである。「Wait 100」は10秒待つ。その間にレゴのおじちゃんが新しい荷物をリヤカーで運んで来るわけである。ちょっとのんきなベルトコンベアが出来上がった。