2月19日 「ピッチング・マシン」を作ろうということでこうしろうと私の意見が一致した。こうしろうはサザンクロスという少年野球チームに所属している。ピッチング・マシンというテーマで野球部の血が騒ぐのか、これまでにない熱心さで一心不乱にロボットの製作に取り組んだ。

 胸には熱い想いがたぎり目はメラメラと燃え上がり、バックには『巨人の星』の主題歌が鳴り響く。「思い込んだら試練の道を・・・♪♪」おっと、いけない私とこうしろうは阪神ファンであった。『巨人の星』はいただけない。しかし、阪神ファンも長くやっていると、他のチームのファンとはチームへの期待の仕方が変わってくる。「今年は優勝だ」とか「今年こそAクラスだ」なんて言っていたのは遠い昔のことになってしまった。「何月まで、まともな野球をやってくれるか」だけがここ数年の最大の関心事だ。早い時は5月ぐらいで「今年は終わったな」と諦めなくてはいけない。8月くらいまで楽しませてくれると最終的な順位に関係なく、「今年はよくやった」と満足できる。とにかく頑張ってくれ、タイガース。

 タイヤを2つ回転させ、間からボールを発射させる仕組みができた。



2月26日 ピッチング・マシンの枠組みを作成する。こうしろうがボールの発射部を横置きに固定する枠組みを作成しているとかずが横から「にいちゃん、なんで横にしとるがけ?」とちゃちゃを入れた。(*富山弁解説「しとるがけ」:決して人が飛び降りる崖ではない。標準語に直すと「にいちゃん、どうして横にしているの?」といった感じだろう)

 「ぼく、縦にする方法知っとる」といって、こうしろうから部品一式を取り上げてしまった。いつも脇役に甘んじている次男「かず」だから、たまに主役もいいだろう。一所懸命にブロックを組むかずの横でこうしろうは所在なげだ。実は、ボールの発射部にはモーターが2つ付いており重たいので「横にしたほうがいいよ」とアドバイスしたのは私である。こうしろうの良い所は素直で聞き分けのいいところであり、かずの良い所は人の話を全然聞いていないところである。

 とにかくピッチング・マシンの大枠は出来上がった。



3月4日 ボールを送り込む仕組みを作って、ピッチング・マシンを完成させる。



 「こうしろう、AとCのモーター、回転方向逆にして最速で回すプログラム作ってくれ」、「はい、はい」とこうしろうが作ったプログラムが下記である。



 ボールを発射するためには2つのタイヤを、ボールを送りこむ側から吐き出す側に向かって回転させなくていけない。Set Directionコマンドでモーターの回転方向を定め、Set Powerコマンドで回転速度を最大にセットしてONコマンドでモーターを回転させている。

 でも、ボールは飛ばなかった。いや正確に言うと10cmだけ飛んだ。パワーが足りないのだ。「こうしろう、こりゃ失敗やわ。」、「失敗け」とこうしろう。「失敗は成功の母やちゃ」とこうしろうの母。「ボールを発射する仕組みを変えて、もう一回ピッチング・マシンを作ろう」とこうしろうと父は誓いあった。『思い込んだら試練の道を・・・』である。