米国時間11月7日に行われた米中間選挙で,電子投票機が故障するトラブルが相次いだ。しかし,その中の何件が重大な故障だったのだろうか。

 それを述べるのは時期尚早だ。現在までに報告されているトラブルの大半は,不便さや長蛇の列といった投票に伴う困難に関するものだ(無論,票の不正にはコンピュータがない時代から行われてきた長く,嘆かわしい歴史がある)。

 しかし,1つ確かなことは,今回の選挙では,電子投票機の安全性と信頼性がこれまで以上に重要であるということだ。7日には,有権者のおよそ39%が電子投票機を使って投票したと見られる。また他の49%の有権者は,光学式スキャナ投票機を利用する見込みだ。光学式スキャナ投票機では,コンピュータを使って,(大学入試の)共通テストと同じマークシート方式で投票用紙を集計する。

 7日に全米各地で起こった主な出来事は以下の通り。

 起動不良:Salt Lake Tribune紙によると,ユタ州で電子投票機が起動しないトラブルが発生し,一部の投票所が「紙投票への逆戻り」を余儀なくされたという。具体的には,「数カ所の投票所で,開場時間の午前7時時点でまだタッチパネル式投票機の準備ができていなかった。また,タッチパネル式投票機で投票を行ったところ投票が正しく受け付けられなかったとの不満の声が一部の有権者から上がった。さらに同州では,多くの投票所で順番待ちの長蛇の列ができた」

 緊急停止:フロリダ州ブロワード郡は,2000年の大統領選挙での大失敗の後タッチパネル式投票機に変更したが,そのタッチパネル式投票機も完璧にはほど遠いことが(今回の選挙で)判明した,とMiami Herald紙が報じた。「Broward Supervisor of Electionsの広報担当,Mary Cooney氏によると,投票システム専門の技術者が,ある投票所で別の投票所用のカートリッジを使って投票機を起動してしまい・・・そのミスが原因で複数の投票機が停止してしまったという」

 バグがある「起動」カードIndianapolis Star紙は,電子投票機の起動カードが原因でバグが発生したと報じた。「MicroVote General Corpが開発した電子投票機を起動させるための青い起動カードのプログラムが間違っている。同社は,インディアナ州の47郡で,(投票機への)ソフトウェアのインストールを行った」

 正気を失った有権者:ペンシルベニア州は,試験的に投票機を電子投票機に変更した。しかしその変更が,明らかに正気を失った同州アレンタウンの1人の住人を暴挙に走らせた。Allentown Morning Call紙によると,Michael Young氏が電子投票機のスクリーンを猫の文鎮で破壊し,警察に逮捕されたという。

 民主党候補有利のデフォルト設定:ソフトウェア業界では,デフォルト設定の重要性は昔から知られている。ニュージャージー州では,共和党員にデフォルト設定の重要性を知らしめる出来事が起こった。New York Times紙によると,投票所の投票機に表示された民主党のRobert Menendez氏の名前が,デフォルトで選択表示されていたという。そのため投票者は,手動でMenendez氏の名前の選択を解除してから共和党候補に投票しなければならなかった。共和党の弁護士は同紙に次のように語った。「何が原因かははっきりしないが・・・あまりに広範囲で発生しており,とても偶然とは考えられない」

 初期設定が完全に間違っていたケースHartford Courant紙によると,コネチカット州のある投票所では,電子投票機の故障が原因でごく少数の投票(わずか28票)がカウントされないという。「(それらの投票は)無効票となった。というのも,ファーミントン通りの投票所に設置されていた2台の投票機には誤った候補者が登録されていたためだ」

 投票所に投票機自体が全く届かなかったケース:不祥事を起こしたテキサス州選出の元共和党下院議員Tom DeLay氏が,めったに空くことのない議会の議席を明け渡した。しかし,Houston Chronicle紙によると,そのテキサス州の選挙区で「少なくとも4つの投票所に,誤った電子投票機が届けられていたのを選挙運動員が発見した。そのため,投票が延期され,すでに投じられた票の扱いについてははっきりしていない」

 コオロギのように鳴く投票機:オハイオ州コロンバス近郊のある小学校で,5台の投票機のうち3台が故障した,とColumbus Dispatch紙が報じた。しかし,さらに傑作なのは,近くの高校で起きたトラブルに関するこの記述だ。「選挙運動員歴20年のベテランMargaret Park氏によると,4-B投票所の5台の投票機のうちの2台が作動しなかったという。故障した2台のうち1台はプリンターが故障した。そして,もう1台についてPark氏は,『この投票機は,コオロギが鳴くような故障音がする』と述べる」

 人間は愚か:少なくとも一部の故障は比較的簡単に直せる。San Diego Union-Tribune紙によると,ある投票区の職員らが,コンピュータが作動しない原因が分からず困惑していたという。それを見た技術者は根気よく「投票機はコンセントにつなぐ必要がある」と説明した。「(職員らは)投票機をバッテリで作動させようとしていたのだ」

 人間は怠惰Oklahoman紙によると,オクラホマ州のある投票所では,選挙監視員の寝坊が原因で開場が遅れたという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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