ハードディスクではなく、フラッシュメモリーにデータを格納する記憶装置。データの書き込み・読み込みや入出力速度を高速にできる。ビッグデータ時代を迎え、次世代ハードとして注目を集める。


 製品にセンサーを埋め込んで稼働データを得るM2M(マシン・ツー・マシン)の登場などで、企業が管理するデータ量が飛躍的に増えています。米IDCによると、全世界のデータ量が2020年まで2年ごとに倍増すると試算しています。

 爆発的に増えるデータをどう管理するのか。この課題を解決できないと、ビッグデータ活用はおぼつきません。そこで注目を集めているのが、「フラッシュストレージ」と呼ばれる次世代記憶装置です。ハードディスク(HDD)だけでなく、フラッシュメモリーにもデータを格納する機能を備えています。従来型のストレージに比べて、データの書き込み・読み込みや入出力速度が飛躍的に高まります。

 最近ではフラッシュメモリーだけで構成した「オールフラッシュ」と呼ばれるストレージ製品が増えています。米IBMは今後3年でフラッシュ技術の研究開発に1000億円を投資する方針を打ち出すなど、ストレージメーカーの競争も一段と激しさを増しています。

効果:速さと低消費電力が魅力

 フラッシュストレージを使うメリットは、大きく2つあります。1つは先述した通り、データの書き込み・読み込みや入出力が高速である点です。国内の某大手ゲーム会社は2013年6月、ネットゲームの基盤にフラッシュストレージを導入。従来に比べ、データの処理速度を100倍高めました。フラッシュストレージを導入すれば、既存システムを流用しつつ、短期間でデータの処理速度を高められます。

 もう1つは、HDDを備えたストレージに比べて、消費電力量が少ないことです。フラッシュストレージを使えば、家庭用の大型テレビ1台分の消費電力量で、20テラバイト(TB)のデータを保存できるという試算もあります。